金沢大学は,「学ぶ内容や所属する学類を,入学した後に決めたい人」のために,入学してからの1年間,自分が本当に学びたいことは何なのか,将来どのようなことがしたいのかを充分考えた上で学類若しくは専攻へ移行することができる「文系・理系一括」入試を導入しています。
アドミッション・ポリシー
金沢大学では,「専門知識と課題探求能力,そして国際感覚と倫理観を有する人間性豊かな人材の育成」を大学憲章において教育目標に掲げています。さらに金沢大学〈グローバル〉スタンダード(KUGS)では,科学的な世界観と歴史観,論理的展開力,己を磨く人間力,創造力,そして日本文化・異文化に対する深い理解力を備え,知識基盤社会の中核的リーダーとなって挑戦し続ける人材の育成に努めることを謳っています。金沢大学は,上述の目標と大学に求められる社会的役割を踏まえ,入学後の学修,研究に必要な基礎学力を有し,さらに豊かな教養の涵養,高い専門性の修習を目指す学生が入学することを期待します。
特に文系一括,理系一括入試においては,様々な分野にまたがって強い興味と関心を持ち,幅広い分野に触れて自らの視野を広げながら主体的に学ぶ熱意があり,かつ,積極的に課題を発見して取り組む意欲のある人を受け入れます。
一括入試で入学した学生は,国際基幹教育院総合教育部に1年間所属し,文系の場合は人文科学・社会科学に関する分野を,理系の場合は自然科学に関する分野を広く学び,2年進級時に,本人の志望,学業成績等を考慮の上,文系の場合は融合学域又は人間社会学域の中から,理系の場合は融合学域,理工学域又は医薬保健学域(医薬科学類,保健学類理学療法学専攻及び作業療法学専攻を除く)の中から移行する学類(保健学類の場合は専攻)を決定します。
求める人材
- 多様な分野にまたがり強い興味と関心を持つ人
- 幅広い分野に触れて自らの視野を広げながら主体的に学ぶ熱意がある人
- 積極的に課題を発見して取り組む意欲のある人
- リーダーシップと協調性を持つ,あるいはこれからそれらを身につけることを目指す人
- 意思決定に伴う責任を自覚した上で,客観的かつ科学的な状況分析を心がける人
入学者選抜の基本方針
一般選抜(前期日程)でのみ実施
文系一括入試では,基礎学力に加え,英語の学力と総合的な課題(総合問題)の理解力・論理的思考力・表現力等を重視します。
理系一括入試では,数学及び英語の基礎学力に加え,物理又は化学の学力を重視します。
入学までに身につけて欲しい教科・科目等
高等学校等で学ぶ教科全般について基礎的な知識と理解力・思考力・表現力を身につけておくことを望みます。
入試の概要
本学では入学の基本的な単位を「学類」とすることで,これまでの「学部・学科」よりも幅広い,大きな枠組みでの入試を行っています。学類で学びの基礎を固めつつ,自分が本当にやりたいテーマを探していくことができます。だとしても,高校の学びの中で,自分が大学で学びたいことを絞り切れずに悩む人も少なくはありません。例えば,物理が得意だけれど,それを探究する方向に進むか応用する方向に進むかが決められなかったり,文学にも興味があるけれど同じくらい国際活動にも興味があり,どちらか一つに決められなかったりする人もいるでしょう。そこで本学は「学ぶ内容や所属する学類を,入学した後に決めたい人」のために,入学してからの1年間,自分が本当に学びたいことは何なのか,将来どのようなことがしたいのかを十分考えた上で学類もしくは専攻へ移行することができる「文系・理系一括」入試を導入しています。様々な専門分野に触れることのできる大学の環境の中で,十分に時間をかけて考え,納得した上で学類もしくは専攻の選択に臨むことができます。ぜひ,チャレンジしてください。
募集人員 | 大学入学共通テスト | 個別学力検査等 | ||
---|---|---|---|---|
文系 68人 |
国語 | 『国語』 | から2〜3 200点 |
『英語』 200点 『総合問題』 400点 |
地理歴史 | 『地理総合,地理探究』,『歴史総合,日本史探究』, 『歴史総合,世界史探究』,『地理総合/歴史総合/公共』から1 |
|||
公民 | 『公共,倫理』,『公共,政治・経済』, 『地理総合/歴史総合/公共』(再掲)から1 |
|||
数学 | 『数学Ⅰ,数学A』と『数学Ⅱ,数学B,数学C』 | |||
理科 | 『物理基礎/化学基礎/生物基礎/地学基礎』, 『物理』,『化学』,『生物』,『地学』から1 |
|||
外国語 | 『英語」(注1) | 200点 | ||
[3教科3科目],[3教科4科目],[4教科3科目]又は[4教科4科目] | ||||
理系 78人 |
数学 | 『数学Ⅰ,数学A』と『数学Ⅱ,数学B,数学C』 | 200点 | 『物理基礎,物理』, 『化学基礎,化学』から1 600点 |
外国語 | 『英語』(注2) | 200点 | ||
[2教科3科目] |
【文系一括】
大学入学共通テストの「地理歴史」「公民」を2科目受験している場合,第1解答科目の成績を優先して利用します。よって,第2解答科目の成績を利用するのは,指定した教科・科目の範囲(「外国語」を除く)で高得点の上位2科目が「地理歴史」「公民」の第1解答科目及び第2解答科目である場合のみです。また選択教科により,科目数は2科目~3科目に変動します。なお,「国語」,「地理歴史」,「公民」,「数学」,「理科」から3科目となるのは,「数学」2科目と他教科1科目の場合のみです。
- (注1) 大学入学共通テストの『英語』については,英語外部試験を利用できます。詳細は,入学者選抜要項及び学生募集要項を確認してください。英語外部試験のスコアを提出する場合であっても,大学入学共通テストにおける『英語』を受験する必要があります。
【理系一括】
- (注2) 大学入学共通テストの『英語』については,英語外部試験を利用できます。詳細は,入学者選抜要項及び学生募集要項を確認してください。英語外部試験のスコアを提出する場合であっても,大学入学共通テストにおける『英語』を受験する必要があります。
一括入試で入学することの魅力
進路選択は正解が一つだけではない問題で,そこに自分が納得のいく答えを見出すには,たくさんのことを学んで,いろんな人に相談したり,様々な経験をしたりする必要があります。進路に悩みながら答えを見つけようとする過程は,人を大きく成長させる大事な機会でもあります。しかし,大学入学前にそのような悩みを深め,そこから答えを見出すには,時間も知識も経験も限られています。多くの志願者が漠然とした不安を抱きながら,限られた時間や知識や経験の中で,専門分野の選択を迫られているのが大学入試の現状です。大学入学後に幅広い学問分野に触れて,体験し,理解を深めながら専門分野を選択したいとは思いませんか?
一括入試の魅力は,入学後,大学の中で学びながら1年間をかけて,これから自分が進む学類もしくは専攻を選択できることです。総合大学である金沢大学では,様々な分野を専門とする教員が教育・研究活動をしており,身近な環境でその活動を知ることができます。学内での説明や見学で,その活動の一端を体験できる機会もあるでしょう。また,学類の学生と交流することで,その学類ではどんなことが学べるのか,その分野にはどんな魅力があるのかといったことを,同じ学生の目線で話を聞くこともできます。さらには,「文系・理系一括」入試で入学した学生を担当する文系と理系のそれぞれのアカデミック・アドバイザーから進路についてのきめ細やかなアドバイスを受けることもできます。このように,大学の中で学びながら,高校やWebサイトでは十分に得ることのできない知識や情報を得て理解を深めた上で進路選択に臨めることが,一括入試で入学することの最大の魅力と言えるでしょう。
試験区分と学類移行人数
一括入試の志願者は,出願時に「文系一括」又は「理系一括」を選択しますが,それぞれ2年次に移行可能な学類は異なります。
「文系一括」入試の入学者は融合学域の3学類及び人間社会学域の6学類の中から,「理系一括」入試の入学者は融合学類の3学類,理工学域の7学類及び医薬保健学域(医薬科学類,保健学類理学療法学専攻及び作業療法学専攻を除く)の3学類の中から,移行する学類(保健学類の場合は専攻)を決定します。各学類への移行人数は下表を確認してください。
試験区分 | 移行可能な学類と人数 | |
---|---|---|
文系一括 68名 |
先導学類 | 3 |
観光デザイン学類 | 2 | |
スマート創成科学類 | 1 | |
人文学類 | 13 | |
法学類 | 15 | |
経済学類 | 15 | |
学校教育学類 | 1 | |
地域創造学類 | 8 | |
国際学類 | 10 |
試験区分 | 移行可能な学類と人数 | |
---|---|---|
理系一括 78名 |
先導学類 | 3 |
観光デザイン学類 | 2 | |
スマート創成科学類 | 3 | |
数物科学類 | 8 | |
物質化学類 | 7 | |
機械工学類 | 10 | |
フロンティア工学類 | 20 | |
電子情報通信学類 | 7 | |
地球社会基盤学類 | 5 | |
生命理工学類 | 6 | |
医学類 | 1 | |
薬学類 | 2 | |
保健学類 看護学専攻 診療放射線技術学専攻 検査技術科学専攻 |
1 1 2 |
総合教育部
一括入試で金沢大学に入学すると,1年次では,国際基幹教育院の「総合教育部」に所属します。総合教育部では,文系,理系ごとに充実した共通教育(教養教育・基礎教育)を実施します。
クラス編成
総合教育部では,文系,理系ごとに4クラスに編成し,各クラスの担任教員が学修上や生活上の相談にあたります。また,アカデミック・アドバイザーからの学類選択支援・履修支援のもと,一人ひとりの希望に沿った履修計画の策定を行います。
充実した教養教育・基礎教育
1年次には,「共通教育科目」を開講します。アカデミック・アドバイザーのサポートのもと,一人ひとりの将来を見据えた学類選択の準備期間とします。
導入科目では,入学者ができるだけ早く大学の在り方に慣れ,大学生らしい学修態度,生活態度を身につけて,将来を見据えながら充実した大学生活を過ごせることを目的としています。また,各学類についての紹介など,学類選択に向けた説明も行っています。
GS科目は,世界で活躍する「金沢大学ブランド」人材育成のために設けられた本学独自の教育方針である「金沢大学〈グローバル〉スタンダード(Kanazawa University “Global” Standard;以下「KUGS」)」に基づいて考案した本学独自の授業科目群です。
学士課程のKUGSは次の6項目
- 自己の立ち位置を知る
- 自己を知り,自己を鍛える
- 考え・価値観を表現する
- 世界とつながる
- 未来の課題に取り組む
- 新しい社会を生きる
から構成しており,この6項目を群として,それぞれに4~6つのGS科目を配置しています。各群から2~3科目以上選択して履修(単位修得)すれば,目標とする6つの学修(習)成果を達成できるように設計してあります。
GS言語科目には英語科目と留学生を対象とした日本語科目があります。それぞれ「GS言語科目(英語)」「GS言語科目(日本語)」と呼びます。また,英語・日本語以外の言語科目を初習言語科目と言い,ドイツ語,フランス語,中国語,朝鮮語,ギリシア語・ラテン語,スペイン語を開講します。基礎科目は,数学,物理学,化学,地学の分野に属する科目で,理系の学生及び融合学域スマート創成科学類を希望する文系学生を対象にしています。自由履修科目は,その他の共通教育科目に加え,GS科目,基礎科目及び初習言語科目の最低修得要件を超えて修得した単位も,自由履修科目として算入します。
学類選択・学修支援体制
金沢大学では,一括入試で入学した学生一人ひとりが自分に合った学類選択を行えるよう,また学修で困ったときに支えられるよう,様々な支援体制を整えています。総合教育部に関わる具体的な支援体制の一部を紹介します。
学類選択支援
一括入試で入学した学生は,総合教育部に1年間所属した後,2年次に各学類・専攻等に移行します。1年間の大学での学びや様々な経験をもとに,自分の興味や適性にあった学類に進めるという利点がある一方で,どうやって自分の移行先を決めればいいのか悩んでしまうこともあるかもしれません。そこで金沢大学では,アカデミック・アドバイザーという専任の教員が学生の学類選択をサポートします。
アカデミック・アドバイザーとは,面談等を通して学生の興味・能力が最大限に活かせる学類・専攻等に進めるように履修等に関してサポートする教員です。各学類・専攻等の情報提供,各学類の教員や先輩学生との連絡,履修相談などの様々な場面で支援を行います。学生は,アカデミック・アドバイザーと相談し,移行したい学類・専攻,自分の将来について考えることができます。
学修支援
普段の学修で困ったことがあれば図書館でも学修支援を受けることができます。図書館には専門の教員による研修を受けたライブラリー・ラーニング・アドバイザー(LiLA) と呼ばれる大学院生の学生サポーターがいます。附属図書館ライティングセンター&ラーニングサポート(W&L)では,大学での学びに必要な基本的なアカデミックスキル(レポートの書き方,資料や文献の探し方),講義の受け方から,プレゼンテーション練習・資料作成,英語論文執筆,国際学会発表練習,ポスター発表練習などの学術的な活動まで相談することができ,LiLAが対話をとおして支援します。さらに,図書館では様々なイベントの開催もしています。
イベント例
- English Hour:留学生と気軽に英語で話せるイベント
- 「卒論・レポートのための資料の集め方」講座
- レポート作成基礎講座
学類等への移行の流れ
1年間学んだ後,総合教育部の学生は2年次から各学類・各専攻等へ移行します。文系学生は融合学域又は人間社会学域,理系学生は融合学域,理工学域又は医薬保健学域(医薬科学類,保健学類理学療法学専攻及び作業療法学専攻を除く)の各学類へ移行します。移行先の学類は本人の志望と,移行点対象科目の成績 (移行点)によって決定します(文系・理系で移行点対象科目は異なります)。
年間スケジュール(予定)※スケジュールは変わる可能性があります
4〜6月
- 担任教員,アカデミック・アドバイザーとの面談・履修相談
- 学類選択への準備
- 第1次予備志望調査
- 第1次予備志望調査結果発表
9~11月
- 第2次予備志望調査
- 第2次予備志望調査結果発表
- アカデミック・アドバイザーとの面談・履修相談
- 後期オリエンテーション
- 先輩との懇談会
2月中旬(〜3月上旬)
- 移行ガイダンス
- 志望調査
- 志望調査結果発表
- 第1次進路登録
3月中旬
- 第2次進路登録
- 第3次進路登録
- 移行学類決定
①学類選択への準備
一括入試入学者は前期(4〜9月)の間にアカデミック・アドバイザーとの面談を行い,学類選択への準備をします。様々な学類を見て自分に合った学類選択を行えるようアカデミック・アドバイザーがサポートします。また,担任教員との面談,履修・学類選択相談,学類紹介,研究室見学(希望者対象),先輩や学類教員との交流懇談等をとおして,学類への理解を深め,自分の適性を極めます。
②志望調査(アンケート)
前期の第1次予備志望調査を経て,前期の成績を各自確認後に第2次志望調査(9月上旬)及び後期(10〜2月上旬)の成績を各自確認後に志望調査(3月上旬)を行います。この調査では,それぞれの時点での学類・専攻ごとの志望者数を調査し,その結果を公表するとともに,自分の成績順位及びボーダーラインも確認することができ,これらのデータを参考にしながら移行先を想定することができます。
③進路登録(移行判定)
志望調査の結果などを参考に,第1次進路登録(3月上旬)を行います。ここでは,移行志望先を1つ選択します。
移行する学類・専攻は第一志望優先で決定し,定員超過の際は移行点対象科目の成績評価に基づいて算出する「移行点」を用いて決定します。第1次進路登録で選択した移行先が既に定員に達した場合は,第2次進路登録(3月中旬)で移行志望先を1つ選択します。移行先の決定方法は第1次進路登録と同じです。
この段階で移行する学類・専攻が決定しなかった学生を対象に,第3次進路登録(3月中旬)を行い,第3志望まで選択します。その結果などを参考に全員の移行先が決定します。移行時期は2年次当初に限り、変更は認めません。
Q&A
Q 総合教育部では,クラスで授業を受けるのですか?
高校とは異なり,1年次にクラス単位で受ける授業は2科目です。他に,総合教育部の文系・理系別で受ける授業があります。それらを中心に,自分で時間割を組み立てることになります。
Q 1年次に進みたい学類の科目を履修することができますか?
学類の学生と一緒に1年次に履修できる学類の科目はあります。入学後に詳しく案内します。授業を通して学類の学生と交流することができます。
Q 理系で苦手な科目がありますが,理系の学類へ進んでも大丈夫でしょうか?
総合教育部には,数学,物理学,化学のリメディアル教育を担当する教員がいます。苦手な科目があれば,総合教育部の1年間でリメディアル教育を受けて学類へ進むことができます。
Q 学類選択には何が役立ちますか?
学類紹介やガイダンス,後期オリエンテーションでの先輩との懇談などがあります。また,担任教員やアカデミック・アドバイザーとの面談が非常に役立ったとのアンケート回答がありました。積極的に面談を活用してください。
Q 移行点対象科目は何科目ありますか?
文系はGS科目12科目及びGS言語科目6科目の計18科目です。理系はGS科目6科目,GS言語科目6科目及び基礎科目(数学・物理学・化学)10科目の計22科目です。(令和6年度入学者)
Q 移行点や進路登録状況はどのように分かりますか?
移行点や進路登録状況は,進路登録時に進路登録システムにおいて各自確認できます。