台湾 国立台湾大学

掲載日:2024-10-8

国立台湾大学

2023年度 アジア〈台湾〉

K. H.(人間社会学域 国際学類 5年)

台湾大学を選んだ理由

 私は20239月から20246月まで10か月間、台湾の国立台湾大学に留学していました。選んだ理由としては、旧帝国大学であり、最高学府として位置づけられている国立台湾大学で自らの研究を進め、数多くの学生、留学生、教授がいる環境で学びを深めたいと思ったからです。また、留学生向けの中国語クラスやその他の授業も充実しており、そのことも選んだ理由の1つです。

留学前の準備について

 留学前はビザの手続きや受け取りで大阪を行き来したり、健康診断や予防注射を受けに病院へ何度か行ったりと準備しなければいけないことが多いです。もちろん早めに準備するに越したことはないのですが、私自身の失敗経験から焦らず1つずつ確認しながらすることが大事かなと思います。分からないことや不安に思ったことは何でも留学推進係の方や留学経験のある先輩、関係機関等に躊躇せず聞いてみて下さい。また、台湾大学では留学生1人に学生ボランティアとして台湾人学生1人がつきます。渡航前からLINE等で連絡を取り合うこともできるため、現地での情報や履修方法等を聞くこともできます。

 留学先についての情報として、例えばMRT(地下鉄)では飲食をしてはいけない、といったものがあります。これは留学前にSNSで調べた際に見つけたものです。台湾の生活における情報はネット上にも多くあるため、そういった情報に目を通しておくと良いかと思います。また、台湾は観光地や都市部では英語を使えたり、日本語を話せる方もいますが、基本的に日常生活で行くローカルなお店では中国語が基本です。そのため基本的な中国語での会話や繁体字の勉強をしておくことをお勧めします。

留学中の経験

大学生活、寮生活での経験を報告したいと思います。まず大学生活について主に学業面から私の経験を共有します。受講した科目の中で特に印象に残っている科目を2つ挙げます。1つ目の科目は日本語劇の授業です。台湾大学の日本語学科3年生の学生が軸となり、1年の準備期間を経て、2時間の演劇の公演を行いました。私たち日本人留学生は役者さんの日本語のサポートを主に行いました。大学では日本語教育の専攻であったため改めて日本語を教える難しさや言語の面白さを感じました。また監督や脚本を考える人、道具を作る人、広報の人など多くの力を合わせて1つのものを作り上げるという経験ができたのもこの授業を受講させて頂けたからです。2つ目は国立師範大学で開講されていた国際社会福祉という授業です。社会福祉の観点から世界中のあらゆる社会問題について考察を深めていくという授業で、英語で開講されていた授業です。院生向けの授業だったため、授業内ではプレゼンテーションも何回かあり、英語でのプレゼンテーション力であったり、発表の資料作りの力が培われました。それだけでなく、今まで自分が知らなかった、関心を向けなかった国や地域について考える機会を与えられ、視野が広がるきっかけとなりました。現在、修士論文で日本と台湾における外国人労働者について研究を行っていますが、この授業を通し、新たな視点から外国人労働者に関する問題を見ることができました。さらに、後期には女子サッカーサークルに参加しました。元々サッカーが好きで、また台湾人学生との交流機会も増やしたく参加しました。前期は授業や台湾での生活に慣れるのに必死で参加しませんでしたが、後期でようやく参加を実現できました。中国語で話すことに対して自信がなかった私ですが、クラブに参加し多くの新しい人とも交流する中で中国語を話す不安感や抵抗感がなくなりました。

また、学業面だけでなく、日常生活や人との関わりの中で自らをよく知り、新たな考えを得る機会が多くありました。特に寮生活では葛藤や困難があったものの、それ以上に大切な仲間との思い出ができました。私は圓通という寮に入りました。4人での共同生活で、前期は中国人3名、後期は中国人2名、日本人1名との共同生活でした。どのルームメイトもお互いを尊重し、思いやりのある方たちでした。しかし衛生面などでの価値観に違いが大きくありました。その度に話し合いをし、どう改善していくべきかを一緒に考えられたのは貴重な経験でした。元々人に何か意見を述べたり話し合いをするのは苦手でしたが、10か月間の寮生活を経て、苦手意識が大分消えました。それよりもお互いが気持ちよく生活するためにはといったことを考える楽しさを感じられました。また、同じ階に住む世界中からの留学生や他の階で知り合った台湾人学生との交流も貴重な時間でした。国籍関係なく、その人の人柄や性格を知り、お互いに考えを共有し合うという時間が本当に好きでした。実は、前期が終わった時点で他の寮へ引っ越すことも考えていました。というのも私の寮は大学から遠く、1人の時間が必要だった私にとって4人の共同生活は少し疲れやすかったからです。しかし、不便さも気にならないほど一緒に生活する仲間との時間が楽しかったため後期も同じ寮での滞在を選びました。そして何より、寮の周りには台湾のローカルフードがたくさんあります!どれも美味しいお店ばかりです。

留学を終えて(金沢大学でしたいこと・進路について)

 もともと外に出ていくことが苦手な性格で、今でも内気な面は変わっていないかもしれませんが、10か月の台湾生活を通して自分の考えを伝えることや人との関わり方といった人間関係の部分で得る学びが多かったです。その他にも、初めは全く聞き取ってもらえないレベルだった中国語が日常生活で使えるレベルになったり、なかなか慣れなかった台湾料理の味にいつの間にか順応していたりといった成長もありました。この留学経験を通して、日本にいる留学生や外国人の方の気持ちや状況を以前より理解できるようになったと思います。そのため、金沢大学では新たに来る留学生の方のチューターや生活面でのサポートなどを積極的に行いたいです。また台湾へ留学したい学生への情報提供や留学相談等も行いたいです。卒業後は留学経験も活かし、また研究テーマでもある外国人労働者の方をサポートできる職に就きたいと思っています。

最後に

本来、学部生で留学に行く方が多いと思いますが、私はコロナウイルス流行の影響もあり、院生での留学となりました。周りの留学生と学年が違うことであったり、言語面や金銭面、進路面といった点で留学を迷っていましたが、留学にかけた時間とお金以上のものが得られました。皆さんがしたいことを思いっきり楽しんでやり遂げて来てください。皆さんの留学が実りあるものとなりますように祈っています!最後に、サポートして下さった大学の皆さん、友人、そして家族に改めて感謝いたします。

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