12月8日,資料館は,令和6年度文化庁InnovateMUSEUM事業の一環として,七尾サンライフプラザ視聴覚室にて「被災文化財救援フォーラム七尾2024」を開催し,63名が参加しました。
はじめに,足立拓朗資料館長から,三次元測量を用いた被災文化財のデジタルアーカイブ化および本学学生による歴史資料の洗浄や整理などのフィールドワークの活動報告を含め,趣旨説明があり,続いて,被災文化財救援に関する専門家4名から,それぞれの知見に基づいた講演がありました。
七尾市教育委員会スポーツ・文化課文化財復旧保全対策室の北林雅康氏からは,震災直後の七尾市内での文化財の被災調査の状況,所有者との調整や復旧・返却までの難しさや文化庁が策定する「文化財保存活用地域計画」の重要性について,国立文化財機構文化財防災センターの小谷竜介氏からは,国立文化財機構における多様な文化財防災ネットワーク体制を生かした能登半島地震における文化財レスキューの取り組み状況について話がありました。続いて,熊本県教育庁教育総務局文化課の帆足俊文氏からは,平成28年熊本地震からの復旧過程の中,令和2年7月豪雨により被災した際の対応状況,発災直後に県が所有者や市町村などの行政機関や関連機関の要望を踏まえてレスキューを実施する方針を決定したこと,日常的な関係機関との連携の重要性についてを,熊本大学文学部歴史学科の杉井健氏からは,熊本地震での被災古墳の復旧状況や課題,平時における遺構の三次元データの蓄積の有用性について事例とともに紹介がありました。講演終了後,全体質疑が行われました。
参加者からは,「文化財レスキュー活動の具体的な活動を知るきっかけになった」「三次元測定の必要性を強く感じた」「このようなフォーラムをひらき,広く住民に周知することも大切だと思った」などの感想が聞かれ,被災文化財救援に向け,理解を深める貴重な機会となりました。
共催:金沢大学能登里山里海未来創造センター