11月15日,里山里海における地域社会づくりや生態系管理をテーマにしたシンポジウム「SATOYAMAの生物多様性保全~森・川・海のつながりを活かした人のいとなみ~」を開催,研究者や市民ら140人が参加しました。
シンポジウムは本学「里山プロジェクト」(代表研究者・中村浩二教授)と東北大学グローバルCOE「環境激変への生態系適応に向けた教育研究」(拠点リーダー・中静透教授)が主催しました。シンポジウムの冒頭で,中静教授が「人間による伝統的な生態系利用の衰退によって生物多様性が低下しています。それに対応するにはいろいろな生態系の結びつきを強くすることが必要」と説明しました。
東京大学の菅豊(すが ・ゆたか)教授は「里の水辺は誰のものか-これからの里を考える」と題した基調講演で, これからの「里」の創造作業では,そこに関わる人々の困難を乗り越える努力が新しい仕組みをつくりあげると話しました。
続く5つの講演では,アミタ持続可能経済研究所の田村典江主任研究員,京都大学の山下洋教授がそれぞれ,沿岸域での漁業の維持には陸域まで含めた生態系管理が必要なことを強調し,北海道環境科学研究センターの間野勉主任研究員は,クマが川を遡上するサケを森に戻すことで海由来の物質が循環することを解説しました。神戸大学の前藤薫准教授は,里山の多様な環境に生息する生物が農地での花粉媒介や天敵防除に役立つと話しました。兵庫県立大学の三橋弘宗講師は,生物多様性保全のために重要な場所をどのように抽出すればよいのか具体例を示しました。