本学医薬保健研究域医学系 篁 俊成教授,金子 周一教授を中心とした研究チームは,核磁気共鳴装置や人工膵臓の技術を用いて,臓器(肝臓・骨格筋・脂肪組織)ごとの脂肪化とインスリン抵抗性をヒトで精密に検査する手法を確立しました。それにより,肝臓の脂肪量が肝臓自体のインスリン抵抗性だけでなく,肝臓と離れて存在する骨格筋のインスリン抵抗性と強く関連することを見出しました。
脂肪肝の悪化が,肝臓だけではなく全身のインスリン抵抗性悪化の中心的な役割を果たし,そのメカニズムに肝臓と骨格筋を結ぶネットワークの存在が示唆されます。このような肝臓と他臓器間のネットワークに関わる未知因子の解明が,糖尿病やメタボリックシンドロームに対する新たな治療につながると期待されます。
この研究成果は3月20日午後5時(米国東部標準時間)に,米国科学誌「PLOS ONE」オンライン版に掲載されました。