10月24日,先端科学・社会共創推進機構は,角間キャンパスにて北陸4大学連携まちなかセミナー「“デザイン”が社会を豊かに -大学が描く未来のかたち-」を開催し,一般市民や学内外の学生など43名が参加しました。
本セミナーは,北陸地区の4つの国立大学法人(富山大学,福井大学,金沢大学,北陸先端科学技術大学院大学)が連携する北陸地区国立大学連携協議会が,地域の多彩な生涯学習ニーズに応えるために平成15年から毎年実施するもの。金沢会場のセミナーは,例年サテライト・プラザにて開催していますが,今年度は感染症対策の徹底のため,広い会場が確保できる角間キャンパスでの開催となりました。
最初に,富山大学都市デザイン学部の矢口忠憲教授が「ユニバーサルデザイン-やさしさや思いやりを形に」と題して講演。北陸地域や北欧の事例を紹介しながら,障がいの有無や年齢,性別,人種などにかかわらず,多くの人々が利用しやすい「かたち」をつくり出すことが重要だと述べ,より豊かに快適な暮らしを実現する上でのデザインの役割を説きました。その後,北陸先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科の佐藤俊樹准教授が「プロジェクションマッピング技術が描く新しい未来」と題し,拡張現実(AR)を実現する同技術のさまざまな活用例について紹介。また,佐藤准教授が現在進めているシーリングライト型とランタン型のプロジェクターの研究・開発にも触れ,実用化に向けての課題や今後の展望について述べました。
続いて,本学人間社会研究域人間科学系の丸谷耕太助教は,「コミュニティデザイン-地域の課題解決と市民参加-」と題して講演。丸谷助教が携わった福岡県の東峰村や石川県野々市市の研究事例を紹介しながら,地域の生態系や伝統・文化,住民の知恵や思いをまちづくりに取り入れることの重要性や,市民同士がお互いを知るプロセスが空間をデザインする上で大切であると説明しました。最後に,福井大学教育学部の濱口由美教授が「福井市美術館を活用したアートコミュニティの創造」と題し,教育の観点による未来の地域デザインについて講演。濱口教授が携わる福井市美術館を活用した市民プロジェクトを紹介しながら,アートを介した地域コミュニティの構築や,自分らしさを発揮しながら学び合う異世代型学習コミュニティ実現の可能性について言及しました。
各講演後には多くの参加者が質問を投げかけ,講師が一つ一つ丁寧に応答。本セミナー終了後には「デザインがより身近に感じられ,その可能性に気付くことができた」「デザインの考え方が多様な分野に用いられていると再認識した」などの感想が寄せられました。