金沢大学大学院新学術創成研究科ナノ生命科学専攻博士後期課程学生のモハマド・シャヒダル・アラム,ナノ生命科学研究所の福間剛士教授,炭竈享司特任助教(さきがけ研究者:研究当時),スイス連邦工科大学ローザンヌ校のマルコス・ペネド研究員らの共同研究グループは,3 次元原子間力顕微鏡(3D-AFM)(※1)による基板に直接支持されていない立体構造のイメージング機構の解明に成功しました。
近年,生体分子等の柔軟な分子の 3D-AFM を用いた計測が広く行われるようになってきています。しかし,そのイメージング機構は十分に理解されておらず,その解明が強く望まれていました。本研究では,3D-AFM を用いて白金の柱の間に吊り下げた 1 本のカーボンナノチューブ繊維のイメージングを行い,シミュレーション結果と比較しました。これにより柔軟な分子の構造を 3D-AFM により確かに可視化できることが実証され,イメージング機構の解明につながりました。
これらの知見に基づき,3D-AFM による細胞内の小器官や染色体などのさまざまな 3 次元構造の解明が期待されます。
本研究成果は,2024 年 6 月 21 日に国際学術誌『Small Methods』に掲載されました。
図1:白金の柱の間に吊り下げた CNT 繊維の電子顕微鏡像(左)と 3D-AFM 像(右)。
【用語解説】
※1:3 次元原子間力顕微鏡
原子間力顕微鏡の探針を 3 次元的に動かし,その間に探針が感じる力を計測してその空間分布をマッピングする。これによって,溶液内の 3 次元構造内部をナノスケールの分解能で観察できる顕微鏡である。
ジャーナル名:Small Methods