金沢大学ナノ生命科学研究所のYang Lei(ヤン・レイ)特任助教は,中国およびドイツの研究者らとの国際共同研究により,黒色板状の結晶構造を持つ二硫化レニウムの二次元結晶薄膜では,ひずみを与える方向によって結晶軸方向に応じて正負逆のピエゾ抵抗効果を示すことを明らかにしました。
水晶や特定のセラミックスに圧力を加えると,圧力に比例した表面電荷が現れる現象を「圧電効果(ピエゾ電気効果)」といいます。一方,半導体や金属に機械的なひずみを与えた際に電気抵抗に変化がある場合は「ピエゾ抵抗効果」と呼ばれ,この効果を示す物質は,圧力センサーやひずみセンサーに応用されています。
本国際共同研究グループは,二硫化レニウムのデバイスを作成した上で,その異方性の特性を光学的・電気的に測定しました。その結果,ひずみを与える方向によって、交差する2つの結晶軸に応じて正と負逆のピエゾ抵抗性を示すという新しい現象を発見しました。
本研究により,二硫化レニウムの二次元結晶が有する半導体特性が明らかになり,ひずみセンサー,フレキシブルエレクトロニクス材料,ひずみ可変性光検知装置・発電装置などに応用されることが期待されます。
本研究成果は,2019年3月6日に米国化学会誌『ACS Nano』のオンライン版に掲載されました。
図. 作成した二硫化レニウムデバイスとひずみに応じた抵抗の変化
二硫化レニウムデバイスのa軸および b軸に対して,ひずみ(Strain)の大きさを変化させながら引張応力(tension)と圧縮応力(compression)を測定したところ,ひずみを与える方向に応じて正負逆のピエゾ抵抗変化を示した。
研究者情報:Yang Lei