スウェーデン カールスタード大学

掲載日:2024-3-28

カールスタード大学

2023年度 ヨーロッパ〈スウェーデン〉

Y.S.(経済学類 4年)

はじめに

私は2022年8月~2023年6月の10か月間、スウェーデンのカールスタード大学に留学していました。この報告書が、留学に興味のある方にとって、少しでも役に立てれば幸いです。

カールスタード大学を選んだ理由

私の留学の目的は主に2つありました。一つ目は社会・環境にとって持続可能なビジネス、ジェンダー学について学習すること。スウェーデンは持続可能な開発に関して、環境保護、社会福祉の点で高く評価されており、10年以上にわたって、コロンビア大学が出しているEnvironmental Performance Indexでスウェーデンはトップ10位内にランクインしてきました。中でもカールスタード大学では、ジェンダー学、サステナビリティに関する授業を幅広く提供しています。ここでこれらに関する学問的知見、実践的取り組みを学ぶ環境が整っていると判断し、この大学を選びました。また、2つ目は、専門分野について英語で議論できるようになること。スウェーデンでは英語が公用語ではないものの、ほとんどの現地の方が流ちょうに英語を話すことができます。また実は移民大国といわれており、さまざまな文化背景を持つ人々が住んでいます。よって10か月の滞在を通していろんな人と英語を話して交流したいと考えていました。

留学前の準備

留学前準備として、主に分けて、語学勉強、ビザ申請を行いました。語学面に関しては、大学の授業は英語で受けるため、学術英語の習得を兼ねてIELTSの勉強を継続的に行っていました。そして、スウェーデンでは英語だけで不自由なく生活できますが、もし現地の人とつながりたいと考えているならスウェーデン語にも触れておくことをお勧めします。「郷に入っては郷に従え。」スウェーデンに限らず、現地語で内輪ネタで盛り上がるのはどこに行ったって一緒のことです。インターナショナルなグループにおいて、もし理解できないメンバーがいるのであれば、その言語で会話を展開するのは良くないと思います。その一方で外国人が現地の言語を習得しようとしないのは、現地の人に対して失礼かもしれません。それに、言葉から様々な文化を知る、一緒に何かできる喜びというのは、語学勉強の一つの醍醐味だといえると思います。

次にビザ申請ですが、「自分で情報を取りに行く」、そして、「その時々で変化する情報を一つ一つ自分の目で吟味する」ことが大事だと思います。マイナーな留学国ということもあり、申請方法に関する情報収集がやや大変です。また、大使館の対応がゆっくりなため、早めに手続きを始めるに越したことはないです。

留学先での経験

留学の初めの頃は特に、つながりを広げるために積極的にイベントに参加するようにしました。例えば、大学のジムにあるスポーツクラブに通ったり、コンタクトファミリープロジェクトに登録したりしました。このプロジェクトはいわばホストファミリーのような存在で、スウェーデン文化に触れる機会をたくさんくれます。私のファミリーは時々週末にディナーに呼んでくださったり、カヤックをしに湖に行ったりしました。

その他、授業がない合間をぬって、ヨーロッパ各地を旅行しました。ストックホルムのドミトリーに宿泊した際、フランスから来たカップルと仲良くなり、その後フランスまで遊びに行ったりしていました。そんな旅や留学での「ひととの出会い」は財産になるし、留学後も残ると思います。

留学中苦労したことは、新しい環境への適応です。文化が全く異なる環境下で、さらに英語がなかなか聞き取れず疎外感を感じることが多く、留学して2,3か月経った頃、カルチャーショックで落ち込むことが多かったです。またその頃は10~11月、日照時間が短く天候の悪い日が続く時期と重なっており、やや冬季うつ気味になってしまいました。ですが海外に移住し、マイノリティーで生きることで、異文化体験をし、居心地のいい環境では出てこない考えに触れられるいい経験になったと思います。悩んでいる最中はつらいかもしれませんが、自分と向き合って前に進んでいくという過程自体貴重だと思うし、本当にやりたいことや大事にしたいものが見えてくると思います。

カルチャーショックを乗り越え、生活が楽しくなってきた留学後半、外に出て友人と会う時間が増え、それからホームパーティーをしたりハイキングに行ったりしました。カールスタードは小さな都市で、市街地に行ってもそれほど多くの娯楽があるわけではありません。しかし、ここには湖や森、自然と身近にあり、それらを大切にしている暮らし方があり、人々が穏やかでシンプルな日々の生活を楽しんでいるのが素敵です。スウェーデンにきてから、環境問題に配慮されているだけでなく、出会った現地の人たちがポジティブで健康的な生活を送っているのを知り、Planetary healthhuman’s healthが思っているよりも関連性のあるトピックであり、同時に認識するべきだということを学びました。

さいごに

留学は時に孤独です。行ったその先で自分は異物だという感覚。いつもなら気に留めないようなうっすらとした不安。それが否が応でも投げかけてくる孤独だと思います。ただ留学は孤独である分自由です。縛られるものなく自分の心に素直になって何が大切なのか考える時間があります。自分がやりたい!追求したい!と思えるものを見つけた時、そこに飛び込む勇気さえあれば自分のものにできるし、それだけたくさんのものに出会えると思います。

留学に行こうか迷っている方へ。自分にも手が届くのか不安な方へ。誰彼構わず行きましょう!とプロパガンダ的に全員にすすめているわけではありません。ですが留学にほんの少しでも興味があるなら、ぜひ行ってみてほしいです。留学でたくさんの素敵な出会いが待っています。

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