カールスタード大学
2022年度 ヨーロッパ〈スウェーデン〉
S.Y.(融合学域先導学類 3年)
スウェーデンのカールスタード大学に2022年の8月から2023年の6月まで留学をしていました。私はスウェーデンのインクルーシブ社会に興味があり、そのような社会で実際に生活してみたいと考え、カールスタード大学に決めました。スウェーデンではほとんどの方が英語を流暢に話しますし、留学生は英語で開講している授業を履修できるという点も、カールスタード大学に決めた理由の一つです。
留学前の段階から、自分で行動を起こすことがとても大切だと思います。私の場合は、色々な国に渡航なさった先輩方と会って体験談を聞いたり、留学や海外に関するイベントに参加したりしました。ホストスチューデントをしてみたりオンライン英会話を使ってみたりするなどして、英語力の強化にも取り組みました。それだけでなく、留学を最大限楽しむために留学理由や留学中にしたことの明確化にも取り組みました。不安や疑問がある場合には、留学経験者の先輩方や、留学を支えて下さる事務の方など周りの方を頼るなどしても良いと思います。私も沢山の知恵とアドバイスを頂きました。とても感謝しております。
カールスタードは自然豊かでのどかな場所です。中心部にはショッピングセンターがありますが、中心部を離れると至る所、森ばかりです。森には歩道が整備されており、散歩したり、トレーニングをしたりする人の姿が見受けられます。大学の近くには小さな湖がありますし、カールスタードはとても大きな湖に面していて、本当に自然がきれいなところです。私の主観ですが、人々はとても優しく、分からないことがあったときなど、とても親切に助けてくださいました。また、カールスタード大学にはコンタクトファミリー制度があり、それに応募すると、コンタクトファミリーと知り合うことができます。私はコンタクトファミリーと数か月に1度、夕食をしたり、外出したり、ゲームをしたりしてとても楽しい時間を過ごすことができました。
留学中には自分から色々なコミュニティと関わるようにしていました。Lyssnarlunch(お昼ご飯を食べながら、読み聞かせを行うイベント)というものに参加して、幅広い年代の方々と知り合うことができました。また、大学の合唱団に参加して、毎週月曜に練習をし、アニバーサリーコンサートやルシアコンサート、スプリングコンサートなど、沢山の活動を行いました。この合唱団のおかげで、スウェーデンの文化に触れる機会が多くなりました。さらに、大学近くにあるInnovation Parkへ行き、ゲーム業界で働く女性のためのイベントや、ゲームのピッチ大会に参加するなどしていました。ゲーム業界について何も知識がない私でしたが、クリエイティブな雰囲気にとても刺激を受けました。このように、自分から行動を起こすことで、自分の活動範囲が増えますし人脈も広がります。最初は英語も上手く使えず、人と関わることに少し怖さを感じていましたが、後悔するよりも恥をかく方がましだという思いで積極的に外に出てみることでとても沢山の貴重な経験をすることができました。
留学中には、日本とは異なる天候に気分が滅入ってしまうこともありました。冬は日照時間が4時間程しかなく、昼間も雪か曇りなので太陽を見ることはまれで、気分が落ち込んだり、勉強意欲が起こらなかったりしました。そのような時は友人と一緒に勉強したり、オンラインの授業だった際はPCを持って南ヨーロッパに旅行してリフレッシュしたりしました。私の周りにはグミのようなビタミン剤を食べている友人もいました。12月に入っても暗さに変わりはありませんでしたが、クリスマスムードが一気に高まり、窓際のキャンドルの光など、暗いからこそ映える景色が美しかったです。留学中に苦労した経験として、自分の専門とは少し離れた領域を勉強していた際に、授業についていくのがとても大変だったことが挙げられます。周りの学生がその分野に特化していたので、自分と彼らの知識量の差が大きく、授業中のディスカッションでは自分の意見が上手く言えず悔しかった記憶があります。求められるエッセイの文量もとても多く、課題にもかなり苦労しました。授業についていくためにも、課題をこなすためにも、とにかく勉強するしかなかったので、できるだけ多くの時間をその勉強に費やしました。友達と一緒に勉強するなどしてモチベーションを維持することも重要だと思います。また、私の場合は、友人や家族からもらった手紙を何度も読み返し、それをやる気につなげていました。課題に対する焦りなどを感じるかもしれませんが、時には息抜きを挟むこともとても重要だと感じました。
留学から帰ってきて、私は留学生と寮生活をしています。留学中に様々な国から来た留学生と出会い、社会システムや文化、考え方の違いを肌で感じることができてとても面白かったです。また、Intercultural Business Communicationという授業で、私は、文化・宗教・規範も違う個性豊かなメンバーがどのように協働できるのかなど、文化のダイバーシティやインクルージョンなどに興味があるということに気付きました。このような経験から日本に帰ってきた後も様々な人と関わりたいと思い、留学生との寮生活を始めました。また、できるだけ環境に負荷の低い生活をしようと心掛けるようになりました。スウェーデンではプラスチックの使用率が少ないと感じました。また通勤・通学に自転車を使う人が多かったです。私の周りにはビーガンの友人も多く、レストランやスーパーなどでは必ずビーガン用の品がありました。スウェーデンにいる際に、私ももっと環境に配慮した生活をしたいと感じ、今では長く使える製品を選んで買ったり、家族の古着を使ったり、買う食品にも気を使ったりしています。
卒業後、スウェーデンで、もしくはドイツで大学院に進学し、リーダーシップやマネジメントについて学び、多文化なチームをどう上手く動かしていくのかについて研究したいと考えています。その後は、ヨーロッパ圏内で人事部・HRのメンバーとして、様々な文化背景を持つ人々で構成される職場の環境づくりのために働きたいと考えています。
この留学を通して、社会システムの違いや、文化の違い、世界各国から来た友人たちとの考え方の違いなど、さまざまな観点から、自分自身や、自分の育ってきた環境について振り返ることができました。また、比較を通して自分の考え方も柔軟になり、将来について再考するきっかけを得ることができました。
留学前はやることが沢山あり、気が滅入ってしまうこともあるかと思います。そういう時は経験者や事務の方に助けを求めても良いと思います。私は自分の留学経験が人生における大きなターニングポイントになりました。みなさんが、留学先で素敵な方々に出会い、かけがえのない経験をすることができるよう、陰ながら応援しています。