オーストラリア オーストラリア国立大学 

掲載日:2024-7-16

オーストラリア国立大学

2023年度 オセアニア〈オーストラリア〉

M.H.(人間社会学域国際学類 4年)

はじめに

私は20232月から12月の約10か月間、オーストラリア国立大学(以下ANU)に留学しました。この報告書が留学をお考えの皆さんのご参考になれば幸いです。

留学のきっかけ

幼少期から英会話教室に通っていたこともあり、留学に対する漠然とした憧れというのは中学生の頃から既にありました。その憧れが自分の中で確信へと変わったのは、大学入学後、当時の先輩方の派遣留学報告会に参加したときだったと思います。英語漬けの日常生活、高レベルな講義への参加、外国人の友人との出会い。どのエピソードも日本に留まっていては体験し得ないものばかりで、その魅力にひかれ本格的に派遣留学を志すようになりました。40か国以上ある派遣先の中でもオーストラリアを志望した一番の理由は、その多様性に富んだ環境に興味を持ったからです。「ルーツの異なる人々が共生するこの国では、多種多様な考えに日常的に触れることができる。その中で自身の視野を広げていきたい」。そういった思いから、オーストラリアへの留学を決心しました。

留学前

留学の準備をするにあたって、まず始めたことは、語学試験の勉強です。ほとんどの英語圏の大学留学には、IELTSTOEFL等の語学試験において所定のスコアを満たすことが必須であり、ANUの場合は、IELTS Overall 6.5以上(各セクション6.0以上)のスコアが必要とされています。私は大学2年次の夏休みから本格的に勉強を開始し、12月の試験でスコアを取得しました。オーストラリアの場合、学内での応募は3次募集(春募集)と比較的遅めですが、早めに勉強を開始された方が安心かと思います。

留学先が決定してからは、ANUへの各種書類の提出、保険への加入、VISAの申請、寮の申請、飛行機・ホテルの予約等々、事務的な手続きでかなり忙しく、今振り返れば語学の勉強を満足にできていなかったように思います。留学先では英語漬けの毎日を送るわけですので、多少の個人差はあれ、英語力は向上すると思いますが、最初のスタートダッシュが異なればその後も異なります。私自身、留学の目的は語学力向上だけではありませんでしたが、「もう少し自分の意見を上手く伝えられる英語力があれば」ともどかしさを感じる場面がたくさんありました。留学前は手続き等で忙しくなるとは思いますが、渡航後、良いスタートダッシュを切るためにも、語学の勉強は継続的に行うことを強くお勧めします。

留学中
学習面

ANUでは、前期4科目、後期3科目の計7科目を履修しました。基本的に履修科目については幅広い分野から自由に選択可能で、私の場合は、金沢大学でも学んでいた国際関係学に加え、アジア・パシフィックに焦点を当てた地域研究学やジェンダー学、人類学などを履修しました。

週に68コマと授業数自体は少なかったのですが、予習・復習含め、各授業1回あたりに求められる課題が多く、慣れるまではかなり苦労しました。中でも、予習のリーディングは膨大で、毎週100頁近く課されることが当たり前だったように思います。また、予習を完璧にこなし、授業内容を自分なりに理解したと感じていても、いざディスカッションで意見を言うとなると、なかなか言葉が出てこないのが当初の私でした。この原因は英語力不足もさることながら、私自身が完璧な英語を追求しすぎるあまり、失敗を恐れて話すこと自体に臆病になっていた点だと思います。しかし、友人との何気ない日常会話の中で、拙い英語であっても伝えてみることの楽しさ、そしてその価値に気付いてからは、授業内でも臆さず発言できるようになりました。自分の意見を伝えグループのメンバーから賛同を得られた時の嬉しさは今でも鮮明に覚えています。当時は勉強漬けの毎日でつらく感じる時もありましたが、全てやり切った今は達成感と自信を感じています。

生活面

ANUが位置するオーストラリアの首都・キャンベラは、自然が多く、のどかで暮らしやすい街という印象です。大都市に比べ娯楽施設は少ないですが、その分、ANU内や学生寮内のイベントが充実しており、サークルもスポーツ系・文化系問わず数多く存在しています。私はJapan Clubというクラブに所属していましたが、そこでは日本文化に興味のある学生や日本語を学んでいる学生等、日本に何かしらの興味関心を抱いてくれている人が多く、定期的に開催されるイベント内では非常に楽しい時間を過ごすことができました。

ANUの寮には様々なタイプがありますが、私は700人以上が暮らす大きな寮で生活していました。1人部屋ですが、毎週末にはフロアミーティングがあり、定期的に寮内でパーティーやイベントも開催されるため、交友関係は広げやすかったと感じています。友人と一緒に料理をしたり、映画を見たり、パーティーをしたり、休日には出かけたりと、何気ないと思っていた日々も今ではかけがえのない思い出ばかりです。

週末は、キャンベラ主催のマーケットやお祭りに参加することが多かったです。オーストラリアではマーケット文化が盛んであり、手作りの雑貨やアクセサリー、お菓子等を並べたマーケットが毎週のように開催されています。また、Enlighten FestivalFloriadeなどキャンベラの街全体で盛り上がるお祭りも数多くあります。ANUへ留学される方々は是非足をお運びください!

最後に

長いようで短かったこの10か月、オーストラリアに留学することができて本当によかったと心の底から感じています。もちろん楽しいことばかりではなく、辛いこともありましたが、それらすべてを含めて、そこでしか体験し得ないかけがえのないものであったように思います。留学をお考えの皆さんの中には、言語も文化も異なる未知の世界に飛び込むことに不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、だからこそ、そうした不安を克服して無事に留学生活を終えたときの達成感は計り知れないものです。不安を感じ過ぎず、自信をもって挑戦していただきたいと思います。最後に、私自身、このような充実した留学生活は周りの方々のサポートなしには成し得なかったことであると強く実感しています。支えてくださった家族、先生方、友人、全ての方々に感謝申し上げます。

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