ワルシャワ大学
2022年度 ヨーロッパ〈ポーランド〉
M.K.(人間社会学域人文学類 4年)
はじめに
Dzień dobry! 私は2022年9月から2023年7月まで、ポーランドのワルシャワ大学に留学をしていました。ポーランドは留学先としては少しマイナーで、日本人にとってあまりなじみのない国であるため、情報を入手しにくく留学先をポーランドに決めるのは不安だと思う方もいるかもしれません。この報告書を通して、少しでもポーランドのこと、ワルシャワ大学のことを知っていただき、そのような方々の不安を解消できれば嬉しく思います。
ポーランドを選んだきっかけ
ではまず、私がポーランドという国を選んだかについて書きたいと思います。私は、人文学類で英語学を勉強しています。そして学んでいくうちに、非英語圏での英語の使われ方や英語教育に興味を持ちました。その点で、英語圏でなくとも高い英語力を持つ国に焦点を当て、人々の英語力が高いと言われているヨーロッパへの留学を希望するようになりました。その中でもポーランドはEU圏内でありながらも独自の通貨を使用しており、日本よりも物価が安く、治安も良いとされていたという理由から、留学先をポーランドに決めました。
留学前の準備
まず絶対にやっておくべきことは、大学が指定する以上のTOEFLかIELTSのスコアを取っておくことです。日本人はIELTSの方が向いているという噂を聞き、私はIELTSのスコアを取得しました。IELTSはTOEICとは違って受験料も高く、実施場所も限られているため、計画を立てて受験することをおすすめします。また、公用語はポーランド語であるため、基本的な挨拶くらいは覚えておくと良いと思います。
留学中の生活
留学中一番苦労し、そして自分を成長させたのは寮での共同生活だと思っています。ワルシャワ大学の寮は基本2人部屋で、バストイレが4人共用、キッチンがフロア共用となっていました。初めのほうは、仕切りもない狭い部屋で、文化の違う外国人の方と一緒に住むということをとてもストレスに感じていました。特に生活リズムの違いや宗教の違いでかなり悩み、相手の気に障ることをしないよう、あまり深い話をしないなど、割り切ることを徹底していました。しかし長い留学生活、ずっと何もしないままでいいのか?と思い始めたこと、そして自分自身が留学生活に慣れてきたことをきっかけに、ルームメイトのことをもっと知り、他の国の価値観や文化に触れてみようと思うようになりました。ルームメイトと話し、相手の文化について話すこと、そして実際に見たり感じたりすることは、私の価値観や先入観を変えてくれました。特に、1セメスター目で同部屋だったムスリムの方は、何も知識がなかった私に対して、礼拝や食のことなど、一緒に生活する中で重要なことをたくさん教えてくれて、日本にも興味を持ってくれていたため、お互いのことをよく知り、理解を深めることができたと感じています。10か月間、1人の空間がないことをマイナスの意味で捉えるのではなく、なかなかできない貴重体験だと思うことができたのは、自分の視野を広げるにあたって非常に重要なことであったように思います。
留学中の学習
私は金沢大学では英語学を学んでいたため、ワルシャワ大学に応募する際も英語学の授業を取ることを考えていました。しかし、オリエンテーション期間に入った後、取る予定だった授業が複数個開講されないことを知らされました。直前だったので驚きましたが、せっかくの機会にと社会学の授業やポーランド語の授業など、分野をあまり絞らずに面白そうだと思った授業を取ることにしました。これまで日本でほとんど勉強してこなかった分野の授業を理解するのは簡単ではなかったのですが、政治や文化などをグローバルに学べたことは非常に楽しかったです。また、ポーランド語の授業は本当に取って良かったと感じています。ポーランド語が少しできることで現地の友人も増え、日常生活の中でも困ることが減りました。さらに授業の受講生は100%留学生であり、様々な国のそれぞれ違う個性を持った人々に出会えたことは、最高の思い出です。
おわりに
留学生活を通して、様々な国から来た人々と関わることによって、日本の外のことを多く知ることができたのに加え、その比較として日本、そして自分のことを客観視できるようになりました。それは、寮生活や授業だけでなく、留学期間中に好きな国をたくさん旅行したことや、ショパンの地ワルシャワで、幼い頃からの趣味であるピアノに触れられた経験などからも得られたことだと思います。留学中は、勉強面だけではなく、遊びや趣味の面でも、そこでしかできないことがたくさんあります。大変なこともありたくさん悩みましたが、帰国する頃には心の底から帰りたくないと思うようになっていました。これから留学に行かれる方、迷われている方!留学は、行って得られるものはたくさんありますが、行って損することはありません。皆さんの留学生活が充実したものになるよう、心から応援しています。