カレル大学
2023年度 ヨーロッパ〈チェコ〉
T. M.(人間社会学域 人文学類 4年)
1. 留学先、留学時期について
私は今回4年生の秋に留学を開始しました。本当は3年生だった2022年に留学したかったのですが、既定のTOEFLの点数を取ることが出来ずに諦めました。しかし、留学をすることは幼少期からの大きな目標だったため、再挑戦したい思いが強く、4年生での留学を決めました。1年間の留学を行う人が多いですが、私は2年間の留年は経済的に難しかったため、就職活動のことを考えて5か月の留学を選択しました。チェコを選んだのは、留学でないと行かないようなマイナーな国に行ってみたいと思ったからです。私はオーケストラサークルに所属しており、ドヴォルザークやスメタナなど有名な作曲家を輩出したチェコは身近な存在でした。
2. 留学前の準備として何をすべきか
留学前準備で大変だったことは語学試験でスコアを取ることとビザの申請の2つです。
【英語学習について】
私が英語の学習で工夫した点は以下の3点です
① IELTSを選択すること
留学に失敗した1年目(2021年)はTOEFLを選択したのですが、全てコンピューターで受けるスタイルが私に合いませんでした。そこで2年目(2022年)はIELTSを選択したところ、スコアもかなり上昇しました。
② 学域GS言語科目(ELPセンター)の受講
これは国際学類向けの授業ですが、他学類も受講できました。前期がTOEFL・IELTS向けの授業、後期が海外の授業を模したスタイルの授業です。全て英語で授業が行われ、毎週たくさんの英語課題が課されるため英語を習得する上でかなり良い機会でした。
③ タンデム活動への参加
私がマッチングしたのはポーランド人の学生でした。毎週1時間ミーティングの時間を設けて英語や日本語で話をしました。スピーキングやリスニングはこのミーティングでかなり鍛えられたと思います。
【ビザの申請について】
実は、私はビザの申請が出国日に間に合わないと予測したため長期ビザではなく長期滞在許可で留学しました。長期滞在許可を申請すると日本ではなくチェコでビザを受け取ることができます。チェコのビザ申請は手続きが煩雑で、許可が出国日に間に合わなくなってしまう学生が多いです。長期滞在許可はお金が余計にかかることや、チェコで手続きをしなくてはいけないというデメリットがありますが、チェコでビザを受け取れるのは大きなメリットでした。
3. 留学先について知っておくとよい情報
英語は意外と通じません。寮やスーパーではほとんど通じないと考えて良いと思います。スーパーの商品や駅の説明書き、アナウンスは全てチェコ語になるので少しだけでもチェコ語の単語を知って渡航するとベターかなと思います。
4. 留学中に取り組んでよかったこと
プラハにチェコ日本人会というコミュニティがあり、そのMeet-upに参加することです。英語で日本に興味があるチェコ人と交流したり、チェコに住む他の日本人と仲良くなれたりします。チェコ日本人会はFacebookを通じてチェコで開催される日本にまつわるイベントを共有してくれるのでぜひフォローすることをお勧めします。(私はチェコ日本人会を通じてカレル大学の日本学科の授業にボランティアとして参加できました。)
5. 留学中の苦労
私が最も留学中に苦労したのはルームメイトとの生活リズムの違いです。私のルームメイトは早寝遅起き、一方の私は遅寝早起きで生活リズムが全く合いませんでした。これがかなりストレスだったのですが、ネイティブの彼女に英語で文句を言う勇気もなく、就寝時間を合わせたり、目覚まし時計を無音にしたりとできる限り彼女の生活に合わせていました。結果として早寝早起きができるようになり、ルームメイトにイライラすることがなくなったので良かったと思います。しかし、自我を押し殺さずに対等にルームメイトと話し合うことも必要だったかなという一抹の後悔もあります。
6. 留学経験をこれからどのように生かしていこうと考えているか
留学中はたくさんの人に助けられました。クレカにエラーが出て切符が買えなくなってしまった時に代わりに買ってくれたお母さんや、スーパーで野菜の買い方を教えてくれたお兄さん、電車で目的の駅に到着した時に英語で教えてくれたおじさんなどお世話になった人は数え切れません。日本にいる今、今度は私が助ける番だと感じます。困っている外国の方がいらっしゃったら進んで手を差し伸べてあげたいと考えています。
7. 就職活動について
私は留学中に就職活動を行い、内定をいただくことができました。留学中に就職活動を行うことは難しそうに聞こえるかもしれませんが、やってみると案外できるものだなと思います。私が留学先で就活をする上で工夫したことは以下の4点です。
① 留学前にサマーインターンにできる限り参加する
留学中にインターンシップを受けるのは時差の関係上参加することはかなり難しいです。興味がある会社のインターン(特に対面のもの)には留学前になるべく参加した方が良いと思います。また、インターンに参加すると早期選考の案内がくる場合があり、それは留学中の学生にとってかなりアドバンテージになると思います。
② 留学前に志望業界(できるなら選考に参加する会社)を決めておく
留学中は留学ならではのことをするべきであり、就活に全振りするのはあまり良くないと思います。留学前にできる準備はしておくといいと思います。
③ 留学先では自己分析とOB訪問に力を入れる
私が主に留学先で取り組んだのは自己分析とOB訪問です。自己分析は内定をいただいた会社の最終面接直前までやり続けていました。また、Matcherやビズリーチキャンパスのアプリを使用するとオンラインで簡単にOB訪問を行うことができるので便利でした。
④ 面接はたくさん受ける
最初はあまり志望度が高くない会社をたくさん受けて面接自体に慣れるといいと思います。私は留学中なこともあり面接練習はあまりせず、実践で勘を磨きました。
ちなみに「今チェコにいます」というだけで大抵の面接官にウケました。留学中に就活をするのも一種の戦略だと思います。
8. 留学して成長したこと
「最後は何とかなる」という楽観的な考え方ができるようになったことです。留学前の私は1つのイレギュラーを重大に捉えてしまい、メンタルを崩してしまいがちでした。しかし、なんだかんだビザを取得し、半年間留学できました。「最後は何とかなる」とどっしり構えられるようになったのは、これからの人生を楽しく生きる上で大きな成長になったと思います。
9. 派遣留学を志す後輩へのメッセージ
4年生でのヨーロッパへの留学(5か月)は金沢大学ではレアケースだと思います。私自身半年だけなら行かなくてもいいのではないか、4年生で内定ももらっていないのに留学していいのか悩むことも多かったのですが、チェコでたくさんの人に出会い、たくさんの場所に行き、たくさん悩み、たくさん考え、本当に良い経験をさせていただきました。今では行って良かったと心から思います。今留学に迷っている人がいるならば、思い切って挑戦してみるのが吉です。そんなに留学は難しいものではありません。人生は意外と修正可能です。