ライデン大学
2023年度 ヨーロッパ〈オランダ〉
Y. I.(人間社会学域 国際学類 3年)
留学先、留学時期について
私はオランダのライデン大学に、3年生の後期から4年生の前期までの1年間、留学しました。このタイミングで留学を選んだ理由は、周囲の学生や先輩から3年生での留学が一般的だと聞いていたことと、3年生の前期に専門的な知識を少しでも身につけてから海外で学びたかったからです。実際に、3年生の前半で受けた授業やゼミで学んだ内容は、留学中に大いに役立ちました。
ライデン大学を留学先に選んだ理由は、いくつかあります。まず、ライデン大学の教育レベルの高さです。特に国際政治分野では世界でもトップクラスの評価を受けており、その質の高い教育を受けられる点に魅力を感じました。次に、授業がすべて英語で行われることです。私は語学留学ではなく、すでに身についている英語を活用して政治を学びたいと考えていたため、ライデン大学が最適な選択肢となりました。
留学前の準備として、何をすべきか・留学先について知っておくとよい情報
留学前に最優先で取り組んだのは奨学金の確保でした。オランダの物価が高いため、家賃や生活費などの費用が予想以上にかかることを事前に把握し、奨学金を早めに調べ始めました。奨学金には、語学留学を認めないものや、一定のIELTSやTOEICのスコア、高いGPAを求めるものもあるため、大学入学時から準備を始めることが重要です。
ライデン大学への留学に向けては、まず英語力の向上が必要です。授業はすべて英語で行われるため、リーディングやディスカッションの練習が不可欠です。金沢大学の英語の授業についていくのが難しいと感じる人には、ライデン大学はお勧めできません。また、オランダは降水日数が多く風も強いため、普通の傘ではなく、少し高めの品質の良い雨具を購入することをお勧めします。
留学中に取り組んでよかったこと、その理由
オランダはゴッホ、フェルメール、レンブラントなど多くの有名な画家を輩出した国で、美術館が豊富にあります。せっかく留学しているのだから、多くの美術館を訪れたいと考え、私は「美術館カード」を購入しました。このカードは200以上の美術館に一年間何度でも入場できるというもので、非常にお得です。休日には自転車や電車で美術館巡りを楽しみ、十ヶ月で40箇所以上の美術館・博物館を訪れることができました。美術館はオランダの歴史を学ぶのに最適な場所であり、オランダと日本の歴史、オランダとインドネシアの関係、第二次世界大戦、オランダの政治など、多岐にわたるトピックの展覧会を見に行くことができました。特に印象に残ったのは、植民地時代のオランダについての展示でした。これらの展示からは、過去の悲劇を忘れずに伝え、次世代に過去の過ちを知ってもらい、同じ過ちを繰り返させないという強い思いが感じられました。
留学中、私は毎週「Lekker Nassuh」という団体から野菜を購入していました。この団体は旬の野菜を地元の有機農家から買い取り、都会でパッケージ販売を行っています。日本でもこのような取り組みは一部の地域で可能かもしれませんが、実施されている場所は少ないと思います。購入は自己申告制で信頼に基づいたシステムです。地元の新鮮で美味しい有機野菜を、スーパーと同じかそれ以下の値段で手に入れられるこのシステムは環境にも優しく、とても魅力的でした。また、Lekker Nassuhではプラスチックフリーを実践しており、買い物に来る人たちはマイバッグや段ボールを持参していました。この取り組みを通して、日本でもこのような制度が普及すれば良いと強く感じました。農業や環境に関心があったため、この経験は将来の日本における環境活動への関心を深めるものとなりました。
留学中の苦労、それをどのように乗り越えたか
オランダでは天気が日本人留学生にとって苦労の原因となることが多いです。オランダは一年を通して涼しく、特に秋から春にかけては雨が多く、秋と冬は日が短いのが特徴です。特に冬の時期は、何週間も連続して雨が降り、この悪天候が原因で鬱ややる気の低下に悩む留学生も多いようです。このような悪天候に対処するためには、「外に出られない」と捉えるのではなく、「家の中やカフェでゆっくり過ごすチャンス」と考えることをお勧めします。私も大学で知り合った友達とカフェで勉強したり、自分の部屋に蝋燭やランプを置いて心地よい空間を作ったりすることで、快適に過ごすことができました。悪天候をポジティブに受け入れ、室内での時間を充実させる工夫をすると、留学生活をより楽しむことができます。
授業については、かなりの苦労がありました。特に課題で求められる読み物の量には圧倒され、毎日部屋にこもって論文を読み続ける週もありました。金沢大学では経験したことのなかった英語でのレポート課題も大変でした。しかし、大学の友達と一緒に勉強したり、大学に朝から夜まで残って課題を仕上げたりすることで、自分のペースを見つけて乗り越えました。授業でよく理解できなかった内容については、同じく国際政治学の授業を受けていたハウスメイトたちに相談し、テスト勉強も一緒に行いました。一人で住むよりも、複数人と共に住むことで、情報やサポートを得られる点は大きなメリットでした。
留学経験をこれからどのように生かしていこうと考えているか
私は農業、環境、そして食に強い関心があり、これまでの大学生活や留学で学んだことをこれらの分野に生かしたいと考えています。国際関係論を学んでいますが、そこで培った学び方や批判的思考を通じて、農業や環境、食の分野で社会貢献することは十分に可能だと信じています。今後数年間、国内外の有機農業を営む人たちや農業に従事する若者、食に熱心な人たちのもとで学びながら、持続可能な農業や環境保護に貢献していきたいと考えています。
卒業後の進路について
自分の好きなことを追求し、社会に貢献するのが今後の目標です。留学前は大学院進学を考えていましたが、ライデン大学でアカデミアへの適性に疑問を持ち、社会貢献の方法を再考するようになりました。留学中に学んだことから、自分も好きなことを追求し続け、その過程で社会に貢献する道を見つけたいと考えています。
留学してよかったこと、成長(変化)したこと、その理由
留学を通じて英語の読解力が向上し、新しい知識や考え方を学びました。また、共同生活を通じて協力の重要性に気づきましたが、最も良かったのは多くの人々との出会いです。友達やチューターなど、多くの人から影響を受け、自己成長に繋がりました。
派遣留学を志す後輩へのメッセージ
ライデン大学に留学を考えている方へ。ライデン大学は高い英語力と意欲を持つ人にお勧めです。留学生活は個人の努力次第であり、特別扱いされることはありません。天候や物価に注意しつつ、友達と共に勉強することで、充実した留学生活を送ることができます。