マラヤ大学
2023年度 アジア〈マレーシア〉
S. M.(人間社会学域 学校教育学類 2年)
はじめに
私は、2023年9月~2024年2月までの約半年間、マレーシアにあるマラヤ大学に留学しました。マレーシアはマレー、中国、インド、ヨーロッパの文化的影響が混ざりあった国で、様々な民族、言語、宗教が共生し発展してきた多様性に富んだ国です。そのため、私もそうだったように、留学先に対し強いこだわりがなく、「英語圏ならどこでも・・・」と行き先に迷っている方には、この一国で多様な文化を経験できるため、おすすめしたいと思います。この報告書がマレーシアやマラヤ大学の魅力を皆さんに知ってもらうきっかけになり、留学に行こうか悩んでいる方の背中を少しでも押すことができれば幸いです。
留学までの経緯
本学では、学校教育学類に所属しており、3・4年次に教育実習があることや必修科目の多さから、長期留学が留年へと直結してしまう可能性が高く、私自身、同期と一緒に卒業したいという思いが強かったため、留学に行くか否かすごく悩みました。しかし、自分の学びのために時間をめいっぱい使うことができるのは学生の特権だと考え、1年次に派遣留学に応募し、教育実習の時期を避けた2年の後期に留学を経験することができました。現在はまだ学部3年生として授業を取り続けていますが、このまま計画通りに履修することができれば、留年することなく卒業できる見込みが立っています。そのため、私のように「長期留学はしたいけど、留年はしたくない。」と留学に踏み出せないでいる方も早くスタートを切り、先生方や学務の方、留学推進係の方など、多くの方のお力を借り、相談すれば活路を見いだすことができるかもしれないので、まず、あきらめないで欲しいと伝えたいです。
留学先は、英語圏であること、金沢大学の所属学部に関わらず、様々な学部の授業を受けることができること、宗教観に興味があったこと、この3点からマレーシアのマラヤ大学を選択しました。この派遣留学に行くまでは海外経験が全くなく、初海外・初留学という状態だったので、怖さもありましたが、マラヤ大学の現地の学生がオンラインオリエンテーションでマレーシアのお国柄、文化、気候の特徴、必需品や在マレーシアの日系スーパーマーケットの所在地に至るまで、丁寧に説明していただけたので、安心して渡航することができました。
留学準備
留学準備で最も大変だったことは、住むところの準備です。私は最終的に、住む場所が決まっていない状態で、大学の近くのホテルを2週間予約し、渡航しました。その2週間で現地での賃貸契約を取り付けました。無事に住居は確保できましたが、最初の1週間は知り合いもおらず、とても不安だったので、早めの準備をおすすめします。
住居の準備に関して、具体的には、まずマラヤ大学の学生寮への応募があります。kkと呼ばれる学内の寮とinternational houseと呼ばれる敷地外にある寮があり、先着順で入寮できるかが決定します。実際、山の中にあるkkと呼ばれる方の寮は衛生面や機能面で見ても居住環境がいいとは言えず、日本での暮らしに慣れていると、かなりカルチャーショックを受けてしまうと思うので、おすすめしません。少し大学からは遠いですが、交通の便も悪くない、international houseの方が住みやすいと思います。私はこの寮の応募で落選してしまったため、大学に最も近いホテルと賃貸契約をして住んでいました。部屋は日本と同じ一般的なシングルの部屋に1人ですが、このホテル内にもマラヤ大学に通う留学生が多くおり、内装もとてもきれいで、共同キッチンや交流スペースもあったため、このホテルで仲間と過ごす時間もとても貴重な時間でした。寮ではなく、私のようにコンドミニアムやホテルの賃貸契約を希望される方はwanderlustという学生支援団体とコンタクトをとることをおすすめします。この団体は、学生の住居選択のサポートや貸主との契約交渉、毎月の家賃の支払いも代行してくれるため、安心して住居選択をすることができます。(詳しくは、派遣留学レポートで過去の先輩方の経験談に目を通されることをおすすめします。)
留学中
他の留学生や現地学生ととにかく積極的に交流したことが留学した中でやってよかったと思えることです。大学に毎日通うことも学生交流の一つですが、それだけでは、1日の10分の1程度の時間しか交流できず、その後は日本でもできることしかしていないことに気付きました。部屋で勉強するのも大事ですが、自らその土地や友人の文化に飛び込んでいく行動力や好奇心が留学をより価値あるものにしてくれたのではないかと感じます。
学内での交流では、UM-WOWという現地学生が留学生のために開いてくれるクラブ活動のコミュニティに参加し、英語や英語以外の言語を他の留学生と一緒に学んだり、バスケットボールやボルダリング、体育祭をしたりして親睦を深めることもできました。授業に関しては、体験型のものも多く、私の履修した授業では、クラス全員でマレー系・中華系・インド系の伝統的な踊りを用いたミュージカルを最終課題として作り上げました。他にも教育系の授業では、実際に現地の学校に見学に行くものや課題で実地調査を行う授業もありました。このような授業は、ぜひ履修をおすすめします。
学外では、そこで出会った友人と休日や学校終わりにストリートマーケットに出かけたり、マレーシアは宗教に関するイベントや祝日が非常に多いため、お互いの信仰に関わらず、ディパバリやクリスマス、チャイニーズニューイヤーなどのお祝いをしたり、長期休みには、隣国や離島に旅行に行ったりと積極的に外に出たことは貴重な文化体験の場につながりました。さらに電車やバス、モノレールがKL市内はどこも60円前後という格安で移動できるという特徴もあり、マレーシアに留学される際は臆することなく、外に出て様々な体験をすることをおすすめしたいです。
最後に
留学はきっかけにすぎません。マレーシアでの体験は、私にとって日本ではできない貴重なものばかりであったことは事実ですが、留学がゴールではないと知ることができたことも、「これは日本でもできる」と日本で自分がやるべきこと・学ぶべきことに気付いたことも留学して外から日本を見たからこその気づきの一つです。私の場合は、世界のニュースに興味をもつようになり、今でも連絡を取りあっているマレーシアやデンマーク、中国にいる友人にニュースに関する質問をしています。一日一日、ただ生活をしているだけでもたくさんの気付きや発見、小さな事件に出会えるのが留学だと私は思います。そのように、皆さんの留学生活が安全で、実りあるものになることを願っています。