皆さん,新年明けましておめでとうございます。今年もどうぞ宜しくお願いいたします。新しい歳の年頭にあたり,一言ご挨拶を申し上げます。
一昨年4月に学長職に就き,早いもので,この3月で2年が過ぎようとしており,既に4年間の任期の半ばに差し掛かっております。就任時に皆さんのお考え,知恵も頂戴しながら策定した,金沢大学の改革のためのビジョンと計画,「YAMAZAKIプラン2014」も,教育改革,研究力強化,国際化,診療と地域貢献,人事・ガバナンス改革など,全ての項目において,改革は一定の進捗をみております。
特に昨年は,改革の象徴とも言える国際基幹教育院の設置に向けた諸準備を進め,また北陸先端科学技術大学院大学との共同大学院の平成30年度設置に向けた第一歩を踏み出すなど,教育改革が進められました。また研究力強化では超然・先魁プロジェクトを選定し,新学術創成研究機構を立ち上げると共に,国際化ではSGUも順調な滑り出しをみせるなど,一定の成果が見られつつあります。その一方で,項目によってはまだまだ変革が進まない計画,効果が出るまでにさらに努力を要する計画が少なくないことも事実です。
皆さん一人一人の力をお借りしながら,引き続き大胆な改革を,スピード感をもって着実に進め,新しい金沢大学を創って参りたいと覚悟を新たにしております。ちなみに,今年の干支「丙申(ひのえさる)」は,「これまでの頑張りが形になっていく歳」ということですので,これにならい,改革の更なる進展を大いに期待したいと考えております。
新たに迎えた平成28年は,本学にとって大きな飛躍を目指すと同時に,取り組んできた挑戦,そして改革を軌道に乗せる,真の正念場ともいえる年となりそうです。
ご承知のとおり,本学は昨年,第3期中期目標・中期計画期間の開始年度となる平成28年度概算要求において,金沢大学の10年,20年先を見据えた議論の末,機能強化のための重点支援3を選択するという大変重い決断をいたしました。結果,本学は旧帝大を含む15の大学と,さらには世界を相手に,研究力・教育力を競っていくこととなりました。
早速,28年度概算要求は,本学が打ち立てた5つの重点戦略,すなわち,1)世界で活躍する金沢大学ブランド人材の育成,2)金沢大学が世界に誇る研究拠点の形成,3)徹底した国際化の推進による教育研究力の向上,4)持続的社会の実現に向けた教育研究成果の社会実装,5)積極的なガバナンス改革 という戦略に沿って行った要求ですが,年末に通達された内示では,重点支援3の大学にあっては,これまでの一般運営費交付金1.6%がグループ内の競争的資金としてカットされ,戦略・施策に応じて措置されることとなりました。国際基幹教育院の設置や新学術創成研究機構の拡充など一定の評価は得られたものの,予想されたことでありますが,特に研究面では厳しい結果となっております。近日中に大学改革推進委員会,教育研究評議会等を通してその内容の詳細を明らかにして参りますが,与えられた予算の範囲内で,本学が目指す戦略と施策を着実に実施して目標を達成し,外部評価を高めていく必要があります。これらは,全ての教職員の努力と英知を結集することでしか成し遂げられないものです。皆さんも覚悟を新たにし,共に取組んでいただきたいと思います。
本年はまた,金沢大学の教育改革が大きく前進する年になることを期待しております。
まず4月には,KUGSを体現すべく,念願の国際基幹教育院をいよいよ設立します。また,GS科目の新たな創設と国際化の動きとに連動し,28年度から4学期制をスタートさせます。さらに,SGUの10年後の目標,すなわち,学士課程においては50%,大学院課程においては100%実施を視野に,英語による授業科目の大幅な拡大を,スーパーグローバルELPセンターの支援を受けながら本格的に始動させます。より多くの日本人学生を海外に派遣すべく,トビタテ留学JAPAN日本代表プログラムなどの外部プログラムのみならず,大学が独自で構築する海外派遣プログラムの充実・強化を図ることにより,組織的に派遣学生数を拡大させていきます。
また本年は,グローバル化に対応した学生留学生宿舎の整備として,「先魁」Ⅱ期の新営に着手する予定です。これにより,ハード面でもキャンパスのグローバル化を推進し,教育の国際化に資する環境を整備して参ります。
また,平成20年の学域学類制導入以降初となる,30年度スタートを目途とした本格的な学類改組に着手するほか,文系一括・理系一括入試の平成29年度実施に向け最終の準備段階に入るなど,入試制度改革の根幹を成す施策に着手します。
同じく本年4月には,教職実践研究科,いわゆる教職大学院,また,先進予防医学研究科が設立されます。さらに,先にも触れましたが北陸先端科学技術大学院大学との共同大学院の平成30年度設立に向け,着実に準備を進めます。
研究力強化においては,昨年4月に設立された新学術創成研究機構を軸とし,リサーチプロフェッサー制度・コンカレントアポイントメント制度を最大限に活用しながら,本学に優位性のある研究を更に強化することにより,異分野融合研究,新たな学問領域の創成,将来有望な若手研究者の育成を加速度的に推進していきます。
新学術創成研究機構ではさらに,新たな大学院研究科の創設を視野に入れた分野横断型の研究活動を進めます。また,「組織は人なり」を体現すべく,一昨年に初めて策定した教員人事配置計画を常に見直し充実させ,異分野融合の促進を視野に入れ強い研究分野を可視化・明確化し,配置計画に沿った計画的な教員人事の実現を更に加速させることを考えております。
地域連携・社会貢献においては,まず,昨年9月 新たに採択された,COC+を軌道に乗せることが重要だと考えております。県内自治体,及び高等教育機関との連携により,若者の地域定着を促進するという,新たな形での地域貢献を推進していきます。さらに,昨年新たに締結した白山市との包括連携協定をはじめ,県内外の自治体や関係機関との既存の連携協定に基づいた教育・研究活動を推進し,これまで以上に地域に愛される大学創りを目指します。
さらに,地域貢献の重要な一翼を担う附属病院については,その経営健全化を進めながら,臨床研究を推進し,地域医療を支える北陸の雄として,今日以上のプレゼンスを発揮できるよう,北陸臨床研究機構メンバー病院をはじめ地域医療機関等との連携体制の強化を推進して参ります。
平成28年,金沢大学は,平成16年度の国立大学法人化,平成20年度の学域学類制移行期に次ぐ,激動の時期を迎えます。皆さんの力を結集し,「皆が頑張る,地域に愛され,世界に輝く金沢大学」を教職員一人一人の努力で実現することこそが,この激動期を乗り越える原動力である,私はそう信じております。皆さん,今年も一年,共に頑張りましょう。
平成28年1月4日
金沢大学長 山崎 光悦