11月23日,先端科学・社会共創推進機構は,サテライト・プラザにて金沢大学公開市民講座「『水』と。-私たちの身近にある研究-」を実施し,県内外の一般の方,本学学生・教職員など約60名が参加しました。本講座は,読売新聞東京本社北陸支社の協力を得て平成24年度から毎年実施しているもので,今回で12回目となります。
先端科学・社会共創推進機構の中村慎一機構長および読売新聞東京本社北陸支社の野崎広一郎北陸支社長によるあいさつの後,環日本海域環境研究センター長の長尾誠也教授が「小松市木場潟における水質改善-次世代へつなぐ水環境-」と題して講演しました。長尾教授は,同市で取り組んできた木場潟の水質調査について,地域との協働が不可欠であると述べ,産学官連携で取り組み,水環境整備を進めていることを説明しました。
続いて,人間社会研究域人間科学系の青木賢人准教授が「石川の暮らしへの水の恵み-ジオパークの視点から-」と題して,白山手取川ジオパークの特徴について講演しました。また,白山の雪解け水によって形成された地域生活圏や人々の暮らしにも言及し,自然環境と人間社会のつながりを強調しました。
その後,「下水モニタリングによる新型コロナ流行検知-感染症拡大の予測-」と題して,理工研究域地球社会基盤学系の本多了教授が講演しました。本多教授は,下水処理場を拠点に,下水中の病原微生物や化学物質を監視する健康情報モニタリングの事例を紹介し,現在は新型コロナウイルス感染症の流行を早期に検知する共同研究を小松市と取り組んでいると説明しました。
各講演後には多くの参加者が質問を投げかけるなど,本講座は参加者にとって,身近な「水」について多角的に理解を深め,本学と地域が連携して取り組む多様な事例を知るきっかけとなったようでした。