アルツハイマー病は認知症患者さんの半数以上をしめる疾患で,その脳にはアミロイドβ蛋白が蓄積しています。近年アミロイドβ蛋白が凝集してオリゴマーと呼ばれる形になると毒性が飛躍的に増加し,脳を障害することが分かっています。
本学大学院 医学系研究科 脳老化・神経病態学(神経内科)山田正仁教授の研究グループが,カルフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)神経学教室Devid B. Teplow教授と共同で,ヒトの脳脊髄液がオリゴマー化を抑制していること,その抑制力がアルツハイマー病患者さんでは低下していることを発見しました。この成果はJournal of Alzheimer Disease誌(Volume 21,8月号)に掲載予定です。
この発見は,アルツハイマー病の発症メカニズムの解明,さらには治療法の開発に直結するものとして注目されています。
Tokuhei Ikeda, Kenjiro Ono, David Elashoff, Margaret M. Condron, Moeko Noguchi-Shinohara, Mitsuhiro Yoshita, David B. Teplow, and Masahito Yamada. Cerebrospinal Fluid from Alzheimer’s Disease Patients Promotes Amyloid β-Protein Oligomerization. Journal of Alzheimer’s disease. Volume 21 (1), 2010.