世界的レベルの文理融合型研究拠点「金沢大学フレスコ壁画研究センター」を開設

掲載日:2010-5-20
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5月19日金沢大学は,人間社会研究域に開設したフレスコ壁画研究センターの看板を除幕しました。同センターは,フレスコ壁画研究における世界的レベルの文理融合型研究拠点として,日伊が連携して壁画診断調査に関わる新たな保存科学技術を開発,世界遺産の保存に貢献するとともに大学のグローバルな研究・教育に継続発展させることを目的として設置されました。
世界遺産イタリアのフィレンツェ三大教会のサンタ・クローチェ教会大礼拝堂の壁画修復プロェクトは,国立大学が美術作品の修復で国際共同プロジェクトを組んだ最初のものであり,本学,フィレンツェ国立修復研究所,サンタ・クローチェ教会の国際共同研究事業として,2004年から5年計画で着手したものです。イタリアでも最大級(820m2)の14世紀末のフレスコ壁画連作「聖十字架物語」(アーニョロ・ガッディ作)が初めて最新の科学テクノロジーで診断調査され,これまでの美術史的な位置付けや図像解釈に新知見をもたらすこととなりました。
また,このプロジェクトの実績に基づき,平成22年度文部科学省の特別経費として予算が措置され,2010年4月から北イタリアと比較して文化遺産の修復・保存が大きく遅れている南イタリアに点在する中世壁画群を最先端の科学テクノロジーを導入し診断調査と壁画の現状を多角的かつ高精細のデジタルデータで記録するデジタルアーカイブの形成をめざし,本学と国立フィレンツェ修復研究所に研究拠点を設置し,日伊共同プロジェクト(4年計画)に着手します。
看板除幕式には,中村信一学長,長野勇研究・国際担当理事,生田省悟人間社会研究域長,フレスコ壁画研究センター長宮下孝晴教授らが参加し,中村学長から今回の新たなプロジェクトは医薬系,理工系の教員を含めた文理融合型の取り組みであり,三学域構想を実現させた総合大学としての本学の真価がいっそう色濃く発揮されるものとして期待するとのあいさつがありました。その後,記者発表が行われ,宮下センター長から新設された目的,事業概要の説明のほか,フレスコ壁画復元現場の紹介,5月29日(金沢)及び6月1日(東京)開催の国際シンポジウム「サンタ・クローチェ教会大礼拝堂の壁画修復プロジェクト」で発表するデジタルアーカイブ計画の一部を披露しました。

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