12月18日,がん研究所会議室において「がん研究所特別セミナー」を開催し,京都大学大学院医学研究科の武藤誠教授が「“Cellular Target Therapy” for Colon Cancer Metastasis: A new strategy based on tumor microenvironment」と題し講演しました。
武藤教授はマウスモデルを用いた研究により,大腸がん発生の分子機序に関する領域で世界をリードしています。セミナーでは,大腸がんの悪性化にともなって骨髄から間葉系細胞が腫瘍細胞周囲に浸潤し,これらの細胞の機能によりがん細胞が浸潤するという,新しいがん転移メカニズムについて発表がありました。さらに,ヒトの大腸がんでも,特定のケモカインの関与により骨髄由来細胞の浸潤が誘導されて,がんの悪性化を促進することが示されました。以上の研究成果を基盤として,骨髄由来細胞の浸潤を阻害することによるがん転移の抑制,すなわち細胞標的治療(Cellular Target Therapy)という新しい概念によるがん治療の可能性について紹介がありました。
がん研究の新知見に対して,約30名の参加者から活発な質疑および討論が行われ,会場は熱気に満ちていました。
「がん研究所特別セミナー」を開催
掲載日:2010-1-5
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