令和7年度文部科学大臣表彰 本学の教職員が受賞

掲載日:2025-4-11
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 令和7年度科学技術分野の文部科学大臣表彰を,本学の教員2名および技術職員1名が受賞しました。

 科学技術分野の文部科学大臣表彰は,科学技術に関する研究開発,理解増進などにおいて顕著な成果を収めた者について,その功績をたたえることにより,科学技術に携わる者の意欲の向上を図り,我が国の科学技術水準の向上に寄与することを目的として,文部科学省が毎年実施しているものです。

 受賞者と業績名は以下のとおりです。

 

<若手科学者賞>
萌芽的な研究,独創的視点に立った研究など,高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績をあげた40歳未満の若手研究者を表彰

角野 歩 ナノ生命科学研究所 助教 

[業績名]高速原子間力顕微鏡によるイオンチャネルの動作機構の研究

 生物に必要不可欠な分子であるイオンチャネルは,動作機構の解明を目指して盛んに機能や構造の解析が行われていますが,技術的困難さにより,ほとんどの場合で膜中のナノスケールの構造動態は不明です。

 角野助教は,生体分子の構造動態を高時空間分解観察できる高速原子間力顕微鏡でイオンチャネルを観察しました。難易度の高いイオンチャネルの観察を高い成功率で行うため,汎用的な試料調製法を開発し,それによって活動電位の発生に必要な電位依存性Na⁺チャネルや,辛味受容体チャネルなどの膜中動態の可視化に成功し,未知の構造変化や分子間相互作用を次々に発見しました。

 本研究成果は,複雑なチャネルの動作機構の完全解明に資するものであり,将来的にはチャネル病治療に繋がると期待されます。

ママードウァ アイーダ 国際日本研究教育センター 准教授 

[業績名]日本のエコパークとジオパークの世代間学習の研究

 日本のユネスコ生物圏保存地域(エコパーク)およびユネスコ世界ジオパークでは,少子高齢化が進み地域活性化と環境保全の両立が課題となっています。特に,地域の持続可能な発展には,若者と高齢者の協働と住民の参画が求められます。

 アイーダ准教授は,これらの地域を活用し,留学生向けESD(持続可能な開発のための教育)を実施しました。450名以上の留学生が住民と学び,住民が「先生」として知識を伝える仕組みを構築したほか,自治体と協働し村全体が「大学」として機能する新たな学習モデルを創出しました。

 本研究成果は,地域住民のエンパワーメントを促進し,持続可能な地域発展の新たなモデルを確立するものとして国際的に高く評価されています。また,本研究はUNESCO-Japan ESD賞を受賞し,今後より多くの地域で応用ができると期待されます。

 

<研究支援賞>
科学技術の発展や研究開発の成果創出に向けて,高度で専門的な技術的貢献を通じて研究開発の推進に寄与する活動を行い,顕著な功績があったと認められる個人またはグループを表彰

小木曽 正造 総合技術部 技術専門職員 

[業績名]潜水と操船及び標本作製技術による多様な研究への貢献

 共同利用拠点である臨海実験施設では多様な研究と教育の安全な実施が求められます。一方,潜水や調査船による作業には生命に関わる危険性も伴います。作業の安全管理と調査の遂行を両立するには高い潜水および操船技術が求められ,同時に研究者や学生の技術向上支援が必要となります。加えて,新たな調査実習船と標本作製技術が望まれていました。

 小木曽技術専門職員は,潜水と操船技術を用いた海中でのサンプル設置,生物や堆積物の採取,観測などによりさまざまな研究を支援しました。また,学生らへ安全管理指導を5年間で潜水175回,船上作業214回行い,人材育成にも貢献しました。加えて,船舶更新では多様なニーズに応じた設備を考案し,標本作製では生物の構造に合わせたプラスティネーション標本の技術開発を行いました。
 

 本業績により,養殖魚開発や海洋深層水の特許取得などの地方創生に関わる産業開発,論文および学会発表における受賞に貢献し,多分野での研究発展に寄与しました。新調査実習船は臨海実験施設の役割を広げ,能登半島地震の被災地における研究を支えています。技術開発された標本は講義や博物館などの教育活動に活用され,海洋教育発展に貢献しています。

令和7年度科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者の決定などについて
Aspiration #11 ママードウァ アイーダ 「地域の発展に貢献すること」

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