本学と朝日新聞社は共催で朝日・大学パートナーズシンポジウム「黄砂,変化の旅~能登は大気観測の最前線~」を11月24日に金沢市内で開催,120人が最新の黄砂研究に耳を傾けました。
これは本学が三井物産環境基金の支援を得て,能登半島の先端に「大気観測・能登スーパーサイト」を開設したことを記念するシンポジウムで,朝日新聞社が公募したパートナーズシンポジウムに選ばれたものです。シンポジウムの開会のあいさつで,中村信一学長は「能登半島は東アジアの環境計測で優れた立地条件にあり,研究拠点として育てていきたい」と述べました。
基調講演に立った本学フロンティアサイエンス機構の岩坂泰信特任教授が「偏西風に伴って日本に飛来する黄砂には,硫黄酸化物や窒素酸化物の化学物質のほか,微生物を付着していることが多く,日本海を渡る時に水蒸気が汚染物質との反応を加速させたり,微生物の付着を促進したりする可能性もある」と最新の研究成果を披露しました。
パネル討論では,冒険家の大場満郎氏や国立総合地球環境学研究所の秋道智彌教授が夢やインパクトがある研究と指摘。国立環境研究所の西川雅高室長や名古屋大学の竹中千里教授が,黄砂が遠く離れた地域の動植物の生態系に及ぼすプラスの面も言及しました。また,本学の早川和一教授は「能登は環境がきれいであり,中国大陸のわずかな環境変化も観測しやすい」とスーパーサイトが能登に立地する意義を強調しました。パネル討論では,環境問題としてどのように隣国と協調して取り組めばよいかなど具体策についても話し合いました。