11月20日,先端科学・社会共創推進機構は,サテライト・プラザにて北陸4大学連携まちなかセミナー「CHANGE!北陸の文化と風土 -地域に根づく先端研究-」を開催し,一般市民や学内外の学生など約40名が参加しました。
本セミナーは,北陸地区の国立大学法人(富山大学,福井大学,金沢大学,北陸先端科学技術大学院大学)が連携する北陸地区国立大学連携協議会が,地域の多彩な生涯学習ニーズに応えるために平成15年から毎年実施するものです。本学が主催する金沢会場では,先端科学・社会共創推進機構の篠田隆行准教授がコーディネーターを務めました。
最初に,富山大学芸術文化学部の大氏正嗣教授が「地域づくりとビジネス -橋の県『とやま』計画と高岡スイーツストリート構想-」と題して講演。地域の魅力を引き出すには独自性やストーリー性が重要だと述べ,立山連峰や橋梁,伝統工芸など富山県の魅力を掛け合わせる自身の研究活動を紹介しました。その後,北陸先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科の増田貴史講師が「加賀友禅をSDGsに相応しい産業へ -染色排水の無害化を切り拓く-」と題し,石川県の植物を用いた草木染めの取り組みについて説明。天然染料によって「新しい価値観」が表現でき,科学技術と異分野連携から新たな可能性が生まれることを語りました。
続いて,金沢大学理工研究域物質化学系の山岸忠明教授は,「金箔・箔打紙と伝統の技 -“金沢箔”の継承に向けた新材料の探求-」と題して講演。金箔や箔打紙の製造にはそれぞれ多くの工程があり,完成まで長い時間と熟練された技術が不可欠なこと,また箔打紙の原料が時代と共に変化する中,箔打紙のみならず,金箔の製造方法も変えていく必要があると説明しました。最後に,福井大学学術研究院工学系部門繊維先端工学講座の廣垣和正准教授が「“染める”の概念を打ち破る -繊維の新たな可能性と地元産業への貢献-」と題し,自らの染色・着色技術の研究・開発について講演。染色媒体を水から超臨界二酸化炭素に置き換えた省エネルギーな染色法などを紹介し,繊維産業の未来について思いをはせました。