医薬保健研究域附属脳・肝インターフェースメディシン研究センターの河﨑洋志教授と東京大学大学院医学系研究科の脇元麻有大学院生らの研究グループは,細胞接着因子カドへリンが高次脳機能の中枢と考えられている大脳皮質の神経回路形成を制御するための重要な遺伝子であることを発見しました。
これまで,カドヘリンが大脳皮質の神経回路形成を制御することは予想されましたが,長くその実例が見いだされていませんでした。本研究グループは,過去に独自に発見したバレルネットと呼ばれる大脳皮質内の神経回路に注目し,その形成を制御する遺伝子を探索したところ,カドヘリンがバレルネットの形成を制御していることを発見。カドヘリンが大脳皮質の神経回路形成を制御するための鍵となる遺伝子であることが示されました。今回明らかになった仕組みは,大脳皮質の異常が関係すると考えられているさまざまな精神疾患や発達障害の理解につながることが期待されます。
この研究成果は,9月17日に英国科学誌「Cerebral Cortex」オンライン版に掲載されました。