金沢大学理工学域 3 学類一括 1 年の佐伯志織、三島未來、学生サークル「金沢大学ボランティアさぽーとステーション」(「ボラさぽ」(※1))および「ボラさぽ」の顧問を務める原田魁成講師(人間社会学域経済学経営学系)は、国際基幹教育院 GS 教育系の唐島成宙准教授、融合研究域融合科学系の南保英孝教授、金居督之准教授、株式会社システムサポート(代表取締役社長 小清水良次)と共同で、災害ボランティア活動のノウハウを提供する AI エージェント(※2)を開発しました。
令和 6 年に発生した能登半島地震と豪雨災害を受け、地域社会の復旧・復興における災害ボランティア活動の重要性が改めて認識されています。しかし、ボランティア活動の参加者数は、十分ではないのが現状です。内閣府の調査によると、「情報不足」がボランティア活動に参加しない大きな要因であることが報告されています。そこで、「ボラさぽ」とともに、異分野融合(医療・経済・AI)共同研究開発チーム「デジさぽ」を結成し、災害ボランティア活動参加者の不安を軽減し、持続可能なボランティア活動の手助けとなる、災害ボランティア活動に関する正確かつ実践的な情報提供を行う AI エージェントを開発しました。
今回開発した災害ボランティア活動支援 AI エージェントは、災害ボランティア活動時の安全対策や準備物などを LINE 上で簡単に案内し、性格診断に基づいた個別アドバイスも行います。実証実験では、利用者の 85%が「他の人にも勧めたい」と高く評価しました。現在は、「ボラさぽ」の活動参加者を対象に試験運用されています。一般公開については、今後の準備状況を踏まえながら検討しており、公開の際には、LINE の友だち登録を通じて幅広くご利用いただけるようにする予定です。
これまで災害ボランティア活動の支援を目的とした類似ツールはほとんどなく、本ツールは新しいニーズに応える革新的なサービスとして期待されています。
図:LINE を用いた災害支援者用チャットボットの画面(画面は開発中のもの)
【用語解説】
※1:「金沢大学ボランティアさぽーとステーション」(「ボラさぽ」)
2011 年創部の金沢大学課外活動団体。東日本大震災発災時から活動を続け、能登半島地震および豪雨災害においても、発災直後から災害ボランティア活動に取り組むと同時に、継続的な学生ボランティア派遣のための活動も行っています。
※2: AI エージェント
AI エージェントは、高度な自然言語処理能力を備えた自律的なシステムで、人間の指示やニーズに基づいて柔軟かつ精密にタスクを遂行します。膨大なデータから学習した知識を活用し、会話や意思決定、情報提供など、幅広い分野で効果的なサポートを提供します。
研究者情報:唐島 成宙