Web媒介型サイバー攻撃対策プロジェクト「WarpDrive」の実証実験開始について ~電脳空間にリアライズしたタチコマでWebの安全性向上へ~

掲載日:2018-6-5
研究

金沢大学理工研究域電子情報通信学系の満保雅浩教授は,株式会社KDDI総合研究所,株式会社セキュアブレイン,横浜国立大学,神戸大学,株式会社構造計画研究所,岡山大学,国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)と共同で,NICTの委託研究「Web媒介型攻撃対策技術の実用化に向けた研究開発」(WarpDrive)において,攻殻機動隊 REALIZE PROJECT(※)と連携して,Webを媒介とするサイバー攻撃の実態把握と対策技術の向上のため,2018年6月1日からユーザ参加型の実証実験を開始します。

サイバー攻撃は多様化・巧妙化を続け,Webサイトを閲覧するだけでマルウェアに感染するWeb媒介型攻撃による被害も後を絶ちません。Web媒介型攻撃は,特定のWebサイトを閲覧したユーザに対してのみ攻撃が行われるため,受動的なサイバー攻撃観測網ではWeb媒介型攻撃の実態把握や迅速な対策展開が困難でした。

Web媒介型攻撃の実態把握と対策技術の向上のため,本研究グループは,これまでWarpDriveに取り組んできました。WarpDriveでは,アニメ「攻殻機動隊S.A.C.」シリーズに登場するキャラクター「タチコマ」をモチーフに,Web媒介型攻撃対策ソフトウェア「タチコマ・セキュリティ・エージェント(タチコマSA)」を開発しました。タチコマSAは,ユーザのWebブラウザの中でWeb媒介型攻撃の観測・分析を行い,攻撃検知時には悪性Webサイトの閲覧をブロックし,ユーザに警告やアドバイスを行います。さらに,インターネット上に分散したタチコマSAたちが,並列化(情報集約・横断分析・新機能展開等)を繰り返し,最新のWeb媒介型攻撃に対応します。

今回WarpDriveは,ユーザ参加型の実証実験を2018年6月1日から開始するとともに,WarpDriveポータルサイトにおいてWindows版およびmacOS版のタチコマSAを,一般ユーザ向けに無償配布します。タチコマSAをインストールすると,上記のセキュリティ機能に加え,攻殻機動隊のコンテンツや同作をモチーフにしたWeb空間の可視化なども体験することができます(図1,図2)。

WarpDriveは,本実証実験を通して「電脳空間におけるタチコマ・リアライズ」を進め,Webの安全性向上を目指します。

 

図1 Web閲覧履歴の可視化

 

図2 Webコンテンツの可視化

 

【用語解説】
※ 攻殻機動隊 REALIZE PROJECT
日本を代表する企業,大学の研究開発者,公共機関,そして製作委員会が一体となり,「攻殻機動隊」シリーズに描かれている数々の近未来テクノロジーの実現を追究するプロジェクト。
 

詳しくはこちら [PDF]

研究者情報:満保 雅浩

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