<本研究のポイント>
・最小細胞である「マイコプラズマ・モービレ」の分子モーターの動きを世界で初めて検出。
・マイコプラズマの滑走運動時の動きを捉えた世界初の研究。
・ナノスケールのデバイスや医薬品を開発するための基礎となる。
金沢大学ナノ生命科学研究所の古寺哲幸教授と安藤敏夫特任教授,大阪市立大学大学院理学研究科の宮田真人教授らの共同研究チームは,最小の細菌である「マイコプラズマ・モービレ」が滑走するための分子モーターの動きを高速原子間力顕微鏡(※1)によってとらえることに世界で初めて成功しました。滑走の構造とメカニズムを詳細に明らかにすることで,運動能の起源と動作原理に迫ることができ,ナノスケールのデバイスや医薬品を開発するための基盤になることが期待されます。
本研究成果は,2021年5月28日19時(日本時間)に,米国微生物学会オンライン誌『mBio』に掲載されました。
図1. 可視化された細胞内部のモーター粒子とその動き(©大阪市立大学 宮田真人)
縦方向に並ぶ白い楕円がモーター粒子。緑の矢印は滑走運動の方向を示す。それぞれの粒子の重心の5秒間の動きが虹色の線で示されている。