理工研究域地球社会基盤学系の佐川拓也准教授,ジェンキンズ ロバート准教授は,令和 6年 2月 17~18日に環日本海域環境研究センター臨海実験施設の船舶あおさぎ号で,飯田湾珠洲沖と九十九湾において海底表層堆積物の採取を行いました。そして、採取した堆積物を1月22日に採取した堆積物と比較しました。その結果,約1ヶ月で海底堆積物に変化があったことが認められました。
珠洲市宝立町の沖合約 600 mの地点で,水深 7.5 mから採取した堆積物には,河川経由で流出した土砂崩れ起源と考えられる茶褐色の泥質堆積物が,表層 1 cm程度覆っていることが 1月の調査で確認されていました。今回,同地点から採取した試料においても,泥質堆積物が確認されましたが,その厚さは 1月に比べて薄く,さらに 1月には見られなかった生物の存在が堆積物表面に確認されました。河川からの土砂供給量が減少したことは,海水の濁度が下がってきていることからも明らかです。加えて,一度海底に堆積した泥粒子が波浪などの影響で再懸濁し,より沖合側へと輸送されたことも泥質堆積物が薄くなった原因と推察されます。
また,海岸から 10 km以上離れた水深 100 mの地点においても,今回初めて堆積物を採取し,泥質堆積物が確認されました。これにより,土砂崩れによる陸からの堆積物供給が広い範囲に影響していることが明らかになりました。
臨海実験施設の船舶あおさぎ号での調査風景
珠洲沖水深 7.5 mの地点で採取した海底堆積物
(左:1月、右:2月)
【研究者情報】
理工研究域地球社会基盤学系 佐川 拓也 准教授
理工研究域地球社会基盤学系 ジェンキンズ ロバート 准教授