志賀町周辺海岸の津波痕跡高について

 理工研究域地球社会基盤学系の楳田真也教授は,2月4日に,金沢工業大学工学部の有田守先生と共同で,志賀町の漁港周辺を中心に津波痕跡高の測量調査を行いました。

 津波の痕跡は,海藻類や漁具など漂流物や壁面などに付着した土砂などを調査し確認しました。また,浸水位置は,津波の痕跡周辺の堆積物の状況や住民の方に話を伺い推定しました。このようにして10地点における海面から痕跡位置までの高低差や距離などを測定した結果,津波の痕跡高は,多くの地点で標高2~4 m程度の範囲にあることが分かりました。

 志賀町の海岸線は,複雑な形状の岩石海岸が長く,入り江や岬が入り組んだ海岸地形が特徴です。加えて,増穂が浦や琴が浜などの砂浜海岸もあり変化に富んでいます。そのため漁港の多くは,自然の岩礁を利用して建設されたとみられます。津波は,海岸に伝播する過程で地形や構造物によるさまざまな変形作用(屈折,反射,回折,浅水変形,砕波など)を受け,各地で複雑に変形して遡上したため,津波の高さは地区により違いが生じたと考えられます。

 本調査中,幾つかの地区の住民の方々から,地震後は津波に備えて高台に避難されていたと伺いました。親族や近所で連携して避難された方もおり,家族や地域のつながりの大切さを実感しました。

 

 

調査時の富来漁港(風無地区)の様子

 

 

【研究者情報】
 理工研究域地球社会基盤系 楳田 真也 教授


  

 

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