3月22日、金沢市内にて、金沢大学SGU事業キックオフシンポジウム「金沢大学<グローバル>スタンダード確立への挑戦」を開催し、国内外から約230名が参加しました。
このシンポジウムは、本学が平成26年度に採択された、文部科学省「スーパーグローバル大学創成支援」(タイプB:グローバル化牽引型)における構想「徹底した国際化による、グローバル社会を牽引する人材育成と金沢大学ブランドの確立」の取り組み内容を広く発信するとともに、学内外の意見を事業に生かすことを目的としたものです。
山崎光悦学長の開会あいさつの後、文部科学省高等教育局高等教育企画課の松本英登国際企画室長、プリンスオブソンクラ大学のペラポン・テカサクル副学長による来賓あいさつがあり、続いて山崎学長による本学の近況報告及び向智里理事(総括・改革担当)・副学長による事業概要説明がありました。
その後、公益財団法人国際文化会館理事長であり、元国際連合事務次長の明石康 氏が、「グローバル化世界で必要なものとは」と題して基調講演を行いました。明石氏は、高等教育において国際競争が進行している中で、授業形態や卒業要件等の様々な課題を抱えている日本の大学は、その地位を楽観視できないと問題提起し、教育において基準とすべきなのは世界のスタンダードであると述べました。そして、グローバル人材に求められる能力は、①やる気、チャレンジ精神 ②異文化を理解する寛容の精神 ③コミュニケーション能力であり、加えて、あくなき知的好奇心と受信能力、自分の意見をしっかり持ち、根気よく伝えるとともに、相手の心のひだまで理解しようとする意欲、注意深さが大事であると提言しました。参加者は、グローバルな現場の最前線で活躍された明石氏の貴重な講演に、熱心に耳を傾けていました。
引き続き、明石氏をはじめ、本学の海外協定校である米国・タフツ大学のジョン・バーカー学生部長、コマツの浦野邦子執行役員人事部長、本学附属高等学校の大谷実校長、柴田正良理事(教育担当)・副学長を迎えてパネルディスカッションが行われました。向理事の進行により、「グローバル人材として重要だと思う能力」のうち、特に大学で学び、身に付けるべきことについて、海外の教育者、企業等の学外者、そして大学に生徒を送り出す高校とそれぞれの立場からの意見を述べていただき、議論を行いました。議論をとおして、それぞれ異なる立場においても、「異文化・自分と異なるものを理解する力」、「自分の考えを相手に伝える力」、「先を見据える力」といった、相手を理解することや自分の考えを持つことが必要だという共通の認識があることが明らかとなりました。また、参加者からも活発な質問が出されました。
最後に、山本博理事(国際担当)・副学長が、閉会のあいさつを述べてシンポジウムは盛会のうちに終了し、本学のグローバル化に向けた大きな一歩となりました。
参加者からのアンケートでは、「大学教育を革新していこうという熱気があってよかった」、「学長の強い意志を再確認した」、「基調講演者及びパネリストの選定が大変良かった」等概ね好意的なご意見をいただき、今後のグローバル人材育成についても期待が寄せられました。また、「SGUについて、より多くの人にわかりやすく今、大学に何が起こっているのか知らせる必要がある」「成長過程のシンポジウムも行ってほしい」とのご意見もありました。引き続き、SGUの取り組みについてより多くの方にお伝えする場を設けていきたいと思います。