ブックタイトル金沢大学広報誌|アカンサス No.42

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概要

金沢大学広報誌|アカンサス No.42

ナノ生命科学研究所~新学術領域「ナノプローブ生命科学」創成に向けて~独自のAFMと高度なシミュレーションが生み出す新たな知ナノ計測学数理計算科学自然界の現象の未知なる起源・原理に迫る福間剛士教授は,原子レベルでの観察を高速かつ高解像度で実現する高速周波数変調原子間力顕微鏡(FM-AFM)や,水分子や分子鎖の3次元空間分布観察ができる3次元走査型原子間力顕微鏡(3D-AFM)を開発してきました。誰もが知る現象に新たな知見をもたらしたいと,地球上で最大の炭素貯蔵庫として,地球規模の炭素循環などに重大な影福間剛士教授アダム・フォスター教授響を及ぼす鉱物であるカルサイトに着目。高速FM-AFMによってカルサイトの溶解過程の原子分解能観察に世界で初めて成功するとともに,アダム・フォスター教授の精緻な[421][010]0.5 nmシミュレーション解析と結び付けることにより,原子レベルの溶解機構を解明しました。次なる挑戦は生命現象の仕組みの解明遺伝情報の担い手であるDNAから成る「クロマチン構造」は,生命活動の基本となるタンパク質の発現や制御において重要な役割を果たします。その3次元構造や動態の解明によって,さまざまな疾患に関係する遺伝子異常を明らかにすることを目0 s 10 s 20 s3 nm[441]CaCO3 Ca(OH)2[461]0 nm高速FM-AFMで観察したカルサイト表面の溶解過程(上)とその原子レベルの動きを実証したシミュレーションモデル(下)指し,生体分子内での3次元構造解析を可能とするAFMおよびシミュレーション技術の改良に着手しています。ナノスケールで迫る分子ナノゲート「核膜孔複合体」生命科学ナノ計測学分子ナノゲート「核膜孔複合体」の作動原理を解明核膜孔複合体(NPCs)は,細胞質と細胞核との間の物質輸送における唯一の通り道であり,生命現象に関わる膨大な情報を監視しながら,選択的に情報交換を制御するタンパク質複合体です。がん細胞内ではがんの増殖・転移に関わるシグナル伝達を制御するなど,生命現象に欠かせない役割を果たします。リチャード・ウォング教授は,ヒトの大腸がん細胞から核膜を単離し,安藤敏夫特任教授が開発した高速AFMによる観察で,NPCsの構造や動態,抗がん剤投与によってがん細胞が死ぬときに起こる特徴的な変形の様子を明らかにしました。リチャード・ウォング教授安藤敏夫特任教授高速AFMのカンチレバー人工NPCsの開発によるナノ治療技術への期待現段階では核膜だけでの観察に限られていますが,技術革新によって生きた細胞そのものを観察できるSPMを開発できれば,細胞内外の分子同士の相互作用の中でNPCsの機能や動態の解明が可能になると考えられます。細胞生物学での機能理解,高速AFMによる構造解明,臨床での病態解明の3つが融合することで,人工NPCsの開発など,核膜孔複合体(NPCs)細胞細胞核あらゆる生命現象の異常をナノレベルで制御できる治療技術につながると期待されます。開発が期待される新たなSPMでの細胞内観察,可視化のイメージ642

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