平成31年度文部科学大臣表彰 若手科学者賞を受賞

掲載日:2019-4-9
研究

平成31年度科学技術分野の文部科学大臣表彰を本学の教員3名が受賞しました。

 

<若手科学者賞>
 萌芽的な研究,独創的視点に立った研究等,高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績をあげた40歳未満の若手研究者個人を表彰

 淺川 雅  ナノマテリアル研究所・准教授

[績名] 液中原子間力顕微鏡による固液界面の原子・分子スケール研究
 さまざまな固液界面現象の理解のためには,液中環境において原子・分子スケール構造を直接観察できる顕微鏡法の確立が強く望まれています。原子間力顕微鏡は近年の技術発展により,液中での原子・分子スケール計測が実現されてきましたが,多くの技術課題が残されています。
 本研究では,液中原子間力顕微鏡の安定性・力感度の大幅な向上を実現し,タンパク質や脂質膜など生体関連分子のサブナノメートル分解能計測や,生体分子と水の界面に形成された水和構造・表面揺動構造の空間分布を可視化することに初めて成功しました。
 本研究成果は,さまざまな固液界面現象を原子・分子レベルで理解することを助け,生命科学から新規材料開発まで幅広い領域の基礎研究・応用研究を支える基盤的計測技術へ発展すると期待されます。

 

 菊川 雄司  理工研究域物質化学系・准教授    

[績名] 金属酸化物分子の静電場を利用した構造制御と機能開拓の研究
 化合物の構造を分子レベルで制御し,機能を設計することは,材料開発において重要な礎です。金属酸化物分子アニオンであるポリオキソメタレートは,分子鋳型として働き,導入する金属構造を固定する材料開発が展開されてきました。
 本研究では,複数のポリオキソメタレートで創り出される空間に働く,自由度の高いカチオン安定化サイトでの導入金属構造制御と,ポリオキソメタレート内部に広がるアニオン安定化サイトの利用のための,ポリオキソメタレート自体の構造制御を行い,構造特異的な材料を開発しました。
 本研究成果は,限られた空間に働く特異的な静電場の利用や,動的な精密構造変換がもたらす機能性材料開発に,新しい知見を与え,特異的な反応場や,さらなる高機能性材料の創出に寄与すると期待されます。

 

 平安 恒幸 先進予防医学研究センター・特任准教授  

[業績名] 白血球レセプター複合体と病原体との相互作用に関する研究
 白血球レセプター複合体と呼ばれる遺伝子領域には,免疫レセプターであるLILRファミリーおよびKIRファミリーがコードされており,ヒト集団内で著しく遺伝的多様性を示します。しかしながら,白血球レセプター複合体の機能については,これまでよく分かっていませんでした。
 本研究では,病原体に着目し,白血球レセプター複合体と相互作用するリガンド分子を網羅的に探索する手法により,活性化レセプターLILRA2および抑制化レセプターLILRB1のリガンド分子を同定しました。その結果,LILRA2が抗体から逃れた細菌を検知すること,LILRB1がマラリア原虫による免疫逃避機構に関わることを示しました。
 本研究成果は,感染症における免疫応答のメカニズムの解明,さらには感染症の治療法や予防法の開発に大きく役立つものと期待されます。
 

 

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