金沢大学スーパーグローバルELPセンターは、SGU事業の取組の目玉のひとつとして2015年4月にオープンしました。センターでは、本学の協定校であるタフツ大学（アメリカ合衆国）のELP（English Language Programs）と連携し、教員・職員・学生対象の3つのプログラムを実施しています。4月からセンターに常駐し、学生及び職員対象のプログラムを担当するジェイミー・ローゼンバーグ先生にお話を伺いました。

 

－初めて英語を教えたのは2002年とのことですが、どのような人たちに教えたのですか？

メキシコ人労働者です。インディアナ州の大学で教育学を学んでいたのですが、ボランティア活動で、メキシコからインディアナ州の工場に働きに来た人たちに教えました。生徒の中には日本人も何人かいましたよ。工場にマネージャーとして赴任してきた人たちの奥さんでした。

－それは面白い経験ですね。その後、来日されたのですね。

はい。2004年から1年間、早稲田大学で交換留学生として学びました。次に来たのは、2007年から2010年まで、宮城県七ヶ浜町に国際交流員として滞在しました。金沢大学に来たのは、今年の4月です。

－金沢に住んでみていかがですか？これまで先生が住んだことがある太平洋側と違って、冬は雪がたくさん降るのでちょっと大変かもしれません。

はい。雪が多いと聞いたので、四駆の車を買いました！でも、気温はそれほど低くならないんですよね。タフツ大学のあるボストンは冬にはマイナス20℃まで下がるので、それに比べれば大丈夫だと思います。

－さて、ジェイミー先生は学生対象の授業と事務職員対象の研修を担当されています。4月から始まった学生対象の授業では、海外留学を目指す学生を対象にTOEFL対策を含め留学に向けた英語力を高めるための授業を行っていると伺いました。授業の感想を聞かせてください。

とても楽しいです。最初はみんなおとなしかったけど、だんだん慣れてきて、積極的に授業に参加するようになりました。学生に「どう思いますか？」などと質問をして発言を促し、発言しやすい雰囲気をつくるようにしています。今は前期を終えた段階ですが、サボる学生はほとんどいなかったです。

－それはすごいですね！ハードな授業だと途中でリタイアしてしまう学生もたまにいると聞きますが、先生の授業がとても楽しかったんでしょうね。他に学生に課していることはありますか？

授業期間中は、週に1度はオフィスアワーに私のところに必ず来るよう指導しています。積極的な学生は、2時間くらい話したり、夏休み中でも来たりしますよ。

－それは熱心ですね。やはり、熱心に学習する学生は英語力が伸びるのも早いですか？

その通りです。週1回の授業だけでは十分ではないので、自分で勉強したり、私のところに来て質問したり話したりすることが大切です。

－9月には、職員対象の研修が始まり、基礎力強化コースと実践ビジネスコースの2つのコースが実施されています。基礎力強化コースでは、TOEICで600点以上を取ることを目標としていますが、受講している職員にアドバイスはありますか？

学生と同様に、週1回の授業では足りないので、自分で勉強することが大切です。特に大切なのは、授業で学んだ新しい単語を復習することと、質問することです。質問することによって、そのことにもっと興味を持つようになり、より深く学習することができます。そして、最優先とまではいかなくても、生活の中で英語学習の優先順位を高くしてほしいですね。

－最後に学生に向けて、これからグローバル社会で活躍する人材になるために、必要なことは何だと思いますか？

“思いやり”です。

－それはなぜですか？

異なる文化の中で働くとき、あるいは異なる文化で育った人と働くときには、どうしても誤解が生じます。しかし、思いやりを持っていれば、誤解の一部を未然に防いだり、たとえ誤解が生じてもそれを乗り越えることができます。

あとは英語の能力ももちろん必要です。しかし、必ずしも流暢に話せなくても大丈夫です。たとえ初級レベルでも、初級レベルの英語を使いこなせれば良いんです。知っている英語を生かせる、ということが大切です。

－なるほど。実際に異なる文化の中で活躍されているジェイミー先生の言葉は説得力がありますね。今日はありがとうございました！

 

（2015年9月取材）